監督
ソビエト・アニメの第一人者であり、耽美なファンタジーの創作者としても名高いツェハノフスキー監督の代表作。「蛙になったお姫さま」は、日本でも知られているロシア民謡をアニメ化したものであるが、幻想的な色彩美あふれる映像は、一九五〇年代のロシア・アニメ隆盛期の名作群の中でも異彩を放つ傑作である。六〇年代から七〇年代にかけて数々のヒット作を生んだF・ヒールークや、人形アニメーターのR・カチャーノフらがスタッフとして参加しているのも話題の一つとなった。
ストーリー
美しいお姫様のワシリーサは、不死身のカシチェイの求婚を拒んだために、醜い蛙にされてしまっていた。その頃、この国の王様は三人の王子たちに、一本ずつ矢を放たせ、その矢の届いた娘と結婚するように命じていた。長男の矢は大貴族の娘の元に届き、次男の矢は大商人の娘に届き、三男イワンの矢は蛙になったワリシーサの元に届いた。蛙と結婚することになってしまったイワンは困り果てる。というのも、王様が三人の花嫁たちに壁掛けを織って持って来るように命じたからであった。イワンは、蛙にそんなことができるわけがないと諦めていたが、ワリシーサは一夜にして素晴らしい織物を編んでしまう。宮殿での宴会に招待されたワリシーサは、蛙の皮を脱ぎ、美しいワリシーサの姿に戻ってイワンの前に現れる。素晴らしい踊りを披露してイワンを喜ばせたのもつかの間、その夜、蛙の抜け殻を燃やされてしまい、ワリシーサは再びカシチェイのもとに連れ戻されることになった。イワンは老婆ババヤーガにカシチェイの倒し方を教わり、熊や狼、鷹の力を借りて、ワリシーサを取り戻す。二人は国に戻り、いつまでも幸せに暮らすのだった。