ジェラール・ドパルデュー
Andre
高級リゾート地モーリシャスを舞台に、恋によって大人になる娘と、それを見守る父親の姿を描く人間ドラマ。監督・脚本は七〇年代にシニカルでブラック・ユーモアに溢れた風刺漫画家として活躍し、「エレベーターを降りて左」の脚本を書いたジェラール・ロジェ。製作はジャン・ルイ・リヴィ。撮影はパトリック・ブロシェ。音楽はフランソワ・ベルネームが担当。主演は本作がデビュー作となるマリー・ジラン、「めぐり逢う朝」のジェラール・ドパルデュー。
一四歳の少女ヴェロ(マリー・ジラン)は、別居中の父アンドレ(ジェラール・ドパルデュー)とともに、憧れのモーリシャス諸島にヴァカンスにやって来た。高校生のバンジャマン(パトリック・ミル)に出会い、一目で恋をしたヴェロは、子供扱いされて、一八歳だと嘘をつく。バンジャマンに美しい恋人がいることを知り、彼に振り向いてもらうために、自分は実は一四歳だが、家出をしているところを拾われたアンドレの恋人で、自分の年齢のために逃避行を強いられているとか、アンドレが元冒険家で、危険な仕事に手を染めているといった嘘をつくヴェロだが、アンドレは娘のことが心配で仕方がない。そんなある日、アンドレはヴェロに、再婚するかも知れないと告白し、傷ついたヴェロはバンジャマンのところへ行き、泣き続けるが、年の離れた恋人に辛い目に合わされていると思いこんだバンジャマンは、探しに来たアンドレに対して敵意を剥き出しにする。結局今までの嘘が全部アンドレにバレて、ヴェロはすごい剣幕で怒られた。ヴェロは、今バンジャマンに本当のことを言えない、娘のために恋の共犯者になってほしいとアンドレに頼むが、その時二人のバンガローにバンジャマンが乗り込んで来た。アンドレはしぶしぶ一芝居打つ。しかし数日後、サーフボードに乗ってヴェロが沖に流された時、助けようとしたアンドレが逆に溺れかけ、ヴェロが思わず「お父さん!」と叫んでしまい、バンジャマンにすべてがバレてしまう。しかし彼は、「もう嘘をつかないでほしい」と言い、ヴェロを許し、二人は心が通じ合った。こうして父娘は、お互いに自立したのであった。
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