ニウ・チェンホワ
ワン副館長
万年平社員として働かねばならない現代中国の庶民のペーソスを、その官僚的体質を暴きながら描いた諷刺喜劇。「黒砲事件」「スタンド・イン/続黒砲事件」など、一貫して都市に住む庶民の姿を描き続ける黄健新の第6作で、「青島アパートの夏」と本作、そして続く『打左灯、向右拐』と共に三部作を成す。原作は劉醒龍の『秋風酔了』。撮影の張錫貴、音楽の張大龍は「青島アパートの夏」に続いての参加。主演も同作の牛振華。共演は「秋菊の物語」「香魂女-湖に生きる」の演技派、雷恪生ほか。94年東京国際映画祭・京都大会最優秀男優賞(牛振華)受賞。94年第1回中国珠海(大陸・香港・台湾)国際映画祭最優秀作品賞・男優賞・脚本賞を受賞。『中国映画祭95』の1本として公開された。
地方自治体公共文化センターの万年副館長ワンさん(牛振華)は、人望もあるし仕事もできる、自分に足りないものはちょっとした運だけ、と信じている。副館長10年目にして、ようやく前館長が交替することになった。無記名投票でワンさんは堂々と自分の名を書くが、今度も当選したのは田舎の村長上がりで何も知らないマーさん(雷恪生)だった。右も左も分からぬマーさんに、ワンさんは親切を装って意地悪をする。館内にワンさん派とアンチ派ができ、一番わかっていないのがマー館長で、とうとう辞任まで追い詰められたが、彼はワンさんに感謝しながらセンターを去っていった。一方、ワンさんと同居する父親(劉國祥)の悩みは、男の子の孫が生まれなかったこと。政府の産児制限では障害がない限り第2子は許されず、思い余って孫娘の声を潰そうと水タバコの残液を飲ませる。ワンさんの妻はこれには激怒し、父親はいたたまれなくなって、引退していた街頭の靴修理の仕事に出掛ける。またしても館長の座を局長秘書ヤンに奪われたワンさんは、ある雪の日、壊れた靴を持って父親のところにでかけるが、父親はその靴をダメにしてしまい、親子は街頭で大騒ぎになる。ある日、父親が血を売っていることを知ったワンさんは、そんなことをしないくれ、と泣いて懇願した。生活に、競争に疲れ果てたワンさんは、とうとう入院してしまう。彼は病院で、得意の駆け引きで第2子の出産許可を貰うことに成功。退院の日、家族と共に家路に急ぐワンさんを待っていたのは、意外にも突発事が発生したヤンに代わり、館長の職を任命するとの報せ。夕暮れの中、晴れてワンさんは文化会館に向かった。
監督
監督
脚本
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原作
撮影
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音楽
美術
字幕
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