親王塚貴子
高橋お伝
愛する男のために体を売り、金貸しの男を殺して首斬りの刑にあった実在の人物、高橋お伝の波爛に富んだ人生を描く。脚本は山之内二郎、監督は「色ざんげ(1983)」の西村昭五郎、撮影は「あんねの日記(1983)」の森勝がそれぞれ担当。
明治九年八月、高橋お伝という女が投獄された。上州で生まれたお伝は十六のときに波之肋という婿養子をもらう。しかし、波之肋はひどい病身で医者の払いもたまり、生活苦からお伝は金貸しの甚三郎に金を貸りるが、その美しい体をおもちゃにもされてしまう。横浜にいい医者がいるのを聞いたお伝は、甚三郎の金を持って波之肋とともに夜逃げする。そして、三年後の横浜。縄張りを荒したと夜鷹に暴行を受けていたお伝は、着流しの遊び人に助けられる。それが後の夫、小川市太郎との運命的な出会いであり、その夜、二人は結ばれる。その頃甚三郎はしばしば金の請求にやってきたが、市太郎は悪知恵を働かせ、お伝が甚三郎に無理やり身体を奪われたときに子供ができたとまんまと大金を手に入れる。お伝と市太郎はもはや離れられなくなっていた。そんなとき、二人の思惑通り、波之助は喀血して息絶える。ある日、お伝は、大金を持つ後藤吉蔵という男を客に取るが、彼は市太郎のかつての仲間だった。その頃、市太郎はいかさま博打がばれ、やくざに追われる身となり、お伝はその金のために、吉蔵に抱かれる。その夜、お伝は吉蔵のサディスティックな責めを受ける。翌朝、お伝は吉蔵の喉を剃刀で切りつける。お伝は吉蔵から奪った金で借金を返し、晴れて市太郎の女房になるが、吉蔵殺しを打ち明け、激しく泣いた。牢の中で、お伝は血文字で「市たろうさま、死にたくない、手をまわしてたすけて下さい」と手紙を書くが、彼は見張りがついていてどうすることもできない。--高橋お伝、人を謀殺し財を取る者、人命律謀殺第五項に照し、斬首--「市太郎さま……生きたい、……生きていたい……」何度も絶叫するお伝であった。
高橋お伝
小川市太郎
波之助
後藤吉蔵
田中甚三郎
おつね
おはつ
新田巡査
やくざたちA
やくざたちB
やくざたちC
女
牢名主
邏卒
甚三郎の女中
監督
脚本
製作
撮影
音楽
美術
編集
照明
録音
助監督
企画
選曲
スチル
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