清水紘治
中田
多彩な女性関係を続ける中年の作家の姿を描く。吉行淳之介の同名小説を映画化したにっかつ創立七十周年記念作品。脚本は「南極物語」の石堂淑朗、監督は「私が棄てた女」(44)以来、十四年ぶりでにっかつ作品を手掛ける「太陽の子 てだのふあ」の浦山桐郎、撮影は「人生劇場(1983)」の安藤庄平がそれぞれ担当。
官能作家として売り出した中田は多彩な女性関係の日日を送っている。十二年前、まだ無名だった中田は、当時、若手有望作家として売り出した山野井と、妻、圭子の関係を疑っており、そんな中で圭子は事故死した。その不審な死は自殺だったのかも……。その疑いは後までも古傷のように中田にまといつく一方、夫という名の枷から解放された気分で、次々と女性に接近していく。華道の師匠・多加子、バーで知り合ったレズの女、マキなど。数日後、腹上死した作家仲間の葬儀に列席するために、マキを同行して熱海に向う。その夜、マキとレズの相手、タエのねっとり絡みあう痴態を覗き見る中田。数日後、妊娠したマキは、堕ろせという中田を無視して、渡米してしまう。同じ頃、多加子も「私、もうじき三十歳……」と言い残し、結婚してしまう。中田は寂しさから、近所に住む読者の夏枝とのセックスに心の渇きを癒す。二人は互いに必要な存在となり、凶暴なパトロン、竹井のいる夏枝は、新しいマンションを借り、中田を待つ日々を送る。ある日そのマンションに中田が入ると、中で待っていた竹井が襲いかかってきた。ひなびた山村の一軒家で中田は意識を取り戻した。そこは夏枝の実家だった。傷ついた中田を、夏枝がタクシーで連れてきたのだ。しかし、これは中田との別れも意味していた。バスで帰る中田を見送りながら、知的障害者の弟の世話をしてここで暮すという夏枝の目から一筋の涙が流れ落ちた。
中田
多加子
夏枝
マキ
津野木(山野井)
竹井
タエ
由美子
圭子
編集者
ホームドラマの男
ホームドラマの女
医師
バーテン
渡辺未亡人
黒服の男
良子
多加子の新郎
学生
夏枝の母
夏枝の弟
監督
脚本
原作
撮影
音楽
美術
編集
照明
録音
助監督
助監督
企画
プロデューサー
スチール