仁科まり子
絹子
美貌を武器に男を翻弄する女を中心に、愛欲と金欲にうごめく人間の醜さを描く。脚本は「昭和エロチカ 薔薇の貴婦人」の宮下教雄、監督は「看護婦日記 獣じみた午後」の黒沢直輔、撮影は「少女暴行事件 赤い靴」の野田悌男がそれぞれ担当。
戦争への道を進む昭和の時代。東京、下町のアパートでは、大月絹子と初老の義父、大月庄吉が関係していた。金満家の庄吉の家族は、絹子、子供の庄太郎、美代子、お手伝いのお松で構成されている。絹子は借金のかたに名家から引き取られ、庄吉は下半身不能の息子の嫁にして世間体をつくろい、関係を結んでいる。絹子と庄吉の密会を覗き見した隣の部屋の鎌次郎は、絹子をゆすり、金と肉体を求めた。一方、兄思いの美代子は兄嫁に絹子がいることがたまらなかった。ある日、左翼思想に傾倒する兄の書物を、警察の取り調べを心配して美代子が燃していると、電話が入り、絹子が処分の続きをまかされる。その頃、絹子と鎌次郎は、かなりの仲になっており、それを美代子に目撃され、父に言いつけるとおどされる。庄吉は心臓病で瀕死の状態であった。脱走兵の過去がある鎌次郎は「大陸に渡ろう、上野駅で待ってる」と言い残して逃げ出した。間もなくして、警察が大月家にやってくると、美代子の押し入れから左翼の本を見つけ彼女を逮捕する。上野駅でも鎌次郎は待ちかまえる警官に逮捕される。全て絹子の策謀であった。
絹子
利恵
美代子
滝鎌次郎
大月庄吉
大月庄太郎
金田
坂東華蝶
お松
刑事
警官
憲兵
憲兵
地下鉄職員
監督
脚本
撮影
美術
編集
照明
録音
助監督
企画
プロデューサー
選曲
スチール
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