風間杜夫
康夫
結婚を反対されたわけでもなく、障害があるわけでもないのに“かけおち”という古典的な愛の行為に出た恋人たちを描く。脚本は原作者でもある「熱海殺人事件」のつかこうへいが執筆。監督は「なんとなく、クリスタル」の松原信吾、撮影は「KIDS」の長沼六男がそれぞれ担当。
康夫は実家の板金工場で名目だけの係長におさまって給料を貰い、カメラにうつつをぬかしている。家には弟の義郎が居るが少し足が悪い。その原因が自分にあると思い込んでいるだけに、彼は家に居づらく、レストランを経営する恋人の北城セツ子の家へころがりこんでの、宙ぶらりんの生活を続けていた。30代に突入した康夫は、実家の相続権は義郎に譲り、セツ子と結婚して北城家の婿になりコック見習いからはじめようとケジメをつけようとする。北城家は代々女系家族でセツ子は一人娘。セツ子の母、則子も父、和夫も康夫の婿入りを望んでいた。ところが、セツ子に見合い話が持ちこまれた。相手は31歳で年商30億を商うという貿易商の早乙女。しかも彼は15年間もセツ子を思い続けていたというのだ。早乙女の態度に感動した和夫は、康夫のアラを見つけてはイビリはじめた。セツ子も早乙女とデートを重ね心を動かされていく。康夫にはデートに出かけるセツ子をとめる強引さもない。そんな頼りなさこそ婿としてはピッタリと、則子は康夫に異常接近しはじめる。やがて早乙女はセツ子に正式にプロポーズしてきた。セツ子には婿をとると決めていた則子はきっぱりと断る。この騒動でひどく言われ傷つき、旅に出ようとする康夫にセツ子はかけおちしようと言い出す。二人は夜汽車で京都におちのびた。何日も過ぎたのに追っ手の来る気配もない、二人はいがみ合いを始め、宿の連中も訝しく思い始める。思いあまった康夫は実家に迎えに来てくれるよう電話するが、父の留吉は忙しいとそっけない。そんなところへ、カナダ行きが決まった早乙女から、セツ子に一緒に来てくれと連絡があった。康夫は心中を思いついた。早乙女を呼びよせ、セツ子をカナダへ同行させようと思ったのだ。セツ子は康夫の腑甲斐なさに立腹、二人はガス栓を開けた。そこに早乙女の運転手、松田が康夫を殺すと出刃包丁を持って現われ、康夫に乗せられ心中に参加。康夫はガスが足りないと階下からガスボンベを持ち出す。やって来た和夫、留吉も入れた5人は、ガスの充満する中、気を朦朧とさせて早乙女を待つ。駆けつけた早乙女が、出刃包丁につまずき、包丁がボンベにささったため爆発を起こした。6人は大ケガをして病院へ入院。1年後、セツ子は康夫の子供を出産。康夫はまたふらりと写真を撮りに旅に出る。
監督
脚本、原作
撮影
音楽
美術
編集
照明
録音
録音
助監督
企画協力
プロデューサー
プロデューサー
主題歌
スチール
[c]キネマ旬報社