監督、撮影、編集
一九七五年四月三十日正午、南ヴェトナム民族解放戦線とヴェトナム民主共和国の戦車部隊は、サイゴン市に無血入場した。十五年間にわたった「ヴェトナム戦争」は、この日終わったのである。「メコンに銃声が消える日」は、この日サイゴンに居あわせたスチール・カメラマンの楠山忠之が、日本から持ってきていた中古の16ミリのカメラを廻して、おもに四月三十日から五月二日までの三日間の、サイゴンとその近辺のようすを撮った記録映画だ。同時録音ではなく、音楽は南ヴェトナムの反戦シンガー・ソングライターであるチン・コン・ソンの歌を使っている。監督兼カメラマンの楠山忠之は、この映画ではじめてムーヴィ・カメラを廻した。沖縄でスチール写真を撮っていた彼がヴェトナムに渡ったのは、1:友人であったフリー・ライターの若林弘男が三年前バンメトートに向かう途中、乗っていた飛行機が爆発炎上して死亡した。彼の踏んだヴェトナムの土を、自分もこの足で踏んでみたい。2:日本--沖縄--ヴェトナムをつなぐ大きな問題を、ヴェトナムを見ることによってふかく考えてみたい--という二つの思いからであった。楠山忠之がサイゴンにはいったのは、一九七五年の四月十六日である。(16ミリ)
ストーリー
※本作はドキュメンタリーのためストーリーはありません。