仲代達矢
五名の清右衛門
金権政治が蔓延った徳川十代将軍家治の世、江戸の総元締を狙い、次々と悪人狩りをを引き受ける五名清右衛門の率いる“闇の狩人”の姿を描く。池波正太郎の同名の原作の映画化で、脚本は北沢直人、監督は「雲霧仁左衛門」の五社英雄、撮影は酒井忠がそれぞれ担当。
徳川十代将軍家治の世、首席老中田沼意次が幕政をあやつり、後に田沼時代と呼ばれる金権汚職の世をつくりあげていた。そして、江戸市民生活の裏面には、金で殺しを請負う“闇の狩人”という組織があった。天明四年冬、浪人谷川弥太郎は河津の弥市の手引きで、白金の徳三を斬った。闇の稼業の一方の旗頭、五名清右衛門が競い合う徳蔵を消す仕掛けであった。弥太郎は、五名の代貸を勤める弥市に、谷川に落ち過去の記憶を失って彷徨っていたのを助けられ、谷川弥太郎と名づけられたのだ。その仕掛け以後、五名は弥太郎を片腕として雇い入れた。ある夜、五名と勢力を争う芝の元締治平の誘いに乗った弥市は、五名を亡きものにしようと企み、五名の女、おもんを手ごめにするが、その現場を看破られ、闇の掟通り殺されてしまう。おもんも川に沈められる筈だったが、隙を見て舟を漕ぐ寅松を殺して逃げる。がその現場を見た嘉助に強請られ、その女になり下がる。そして治平は弥太郎によって斬られてしまう。五名は、元北前藩家老の下国左門から、お家再興を願う蛎崎将監、筧軍兵衛らを亡き者にする仕掛けを請負い、弥太郎にその仕事を命じた。弥太郎は相手を次々と斬り倒すが、目指す二人を取逃してしまう。隠れ家でかえり血を清めている弥太郎に、治平の女お蓮が恨みを晴らそうと斬りかかり、弥太郎は深傷を負う。別の隠れ家に運ばれた弥太郎の手当をする五名の囲い女おりはは、弥太郎の顔を見て驚く。行方しれずの夫平三郎だったからだ。おりは(荻野)は平三郎に語った。蝦夷地の豊かな資源に目をつけた老中田沼は慾にくらむ左門を抱き込み、藩主章広が乱心の末自刃して果てたという表向きの理由で北前藩を取り潰した。ところが、藩主には脇腹ながら跡継がおり、それを左門に知らせた笹尾善左衛門は、左門の駕篭を借りたがために、誤まって息子平三郎の刃にかかる。父の遺言により平三郎、荻野夫婦が江戸へ向かう途中、左門の配下に襲われ、平三郎は谷川に転落、行方不明となった--。おりはを愛していた五名はこの話を盗み聞いて絶望的になる。一方、弥太郎の正体を知った嘉助は左門を訪れ、それを種にたかるのだった。左門は五名を呼び出し、弥太郎を差出せと迫るが、五名はその申し出をきっばり断わるのだった。その頃、おりはの言葉を聞いた弥太郎は傷の身も顧ず、浅草般若院に出かけると、そこの住職招厳は、弥太郎の顔を見るなり「笹尾善左衛門が伜、平三郎であろう」と語り、北前藩が家康公から拝領した里油印と幼名の所在を記した文箱を渡す。そこへ、蛎崎と筧たちが押し入り、二人に斬りかかり、倒れた燭台の火が燃え拡がるのを見て、弥太郎は突然記憶をとり戻した。重傷を負った弥太郎は、逃げ帰った隠れ家の中で荻野と再会したのも束の間、忍び入ったお蓮のドスに弥太郎は倒れ、荻野も夫弥太郎の傍で自害して果てた。そしてお蓮も後を追った。暫くして、丘の上の鶏小屋で、北前藩の命運を賭けたお墨付を中に、左門と五名は、男の夢と生きざまをかけて対峙し、壮烈な死闘の末、共に死んでゆく……。
五名の清右衛門
谷川弥太郎(笹尾平三郎)
おりは(荻野)
おもん
お咲
お蓮
下国左門
田沼意次
半場の助五郎
桑野の定八
日野の左喜松
染善の文吉
河津の弥市
五寸の寅松
嘉助
芝の治平
白金の徳蔵
笹尾善左衛門
般若院招厳
掛小屋の踊り娘
お藤
写楽の松
監督
脚本
原作
製作
製作
製作
撮影
音楽
美術
編集
照明
録音
助監督
殺陣
殺陣
スチール
製作補
製作補