水原ゆう紀
ナオミ
谷崎潤一郎の『痴人の愛』の四度目の映画化で、狡猾で淫蕩なヒロイン“ナオミ”の愛と性を現代の女性像として描く。脚本は「往生安楽国」の高林陽一と「未来少年コナン」の今戸栄一の共同執筆、監督も同作の高林陽一、撮影は「女高生 危険なめばえ」の高村倉太郎がそれぞれ担当。
宝飾貿易会社を経営する三十八歳の河合譲治がはじめてナオミと知り合ったのは、彼女が高校を中退したばかりの十六歳のときだった。譲治がしばしば利用するスナックに彼女が働いていたのだ。ナオミに魅せられた譲治は彼女を引き取り、知的で美しい理想の女性に育てようとした。二人は結婚して鎌倉に家を買った。十八歳になりいっそう美しさをましたナオミは、また淫蕩で気まぐれな性格も目立って来る。テニスクラブのメンバーの青年、浜田や他の若者たちを集めてかって気ままに遊び歩く。そして、ナオミの狼費癖は見境を知らず、下着だろうがドレスだろうが、片端から買い漁るのだった。譲治の出費はかさむ一方だが、ナオミの虜となってしまった今、強い態度に出れず、全てを許してしまう。その頃、ナオミの男関係は近所でも評判で、そのことを浜田から聞いて愕然とした譲治はとうとう彼女と別れる決心をする。鎌倉の家を出たナオミは、六本木あたりで、不良外国人たちと関りを持ち、自堕落な生活を送っていた。そんな生活の空しさ、哀しさに襲われ、荒みきった彼女は、荷物を取りに行く口実を作って譲治のいる鎌倉の家を訪ねた。そして、また二人の生活がはじまった。しかし、今度は、譲治がいっさいナオミの行動に干渉しないことなどが約束され、彼女の肉体の情欲はとどまるところを知らなかった。
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