渥美マリ
石川ゆみ
渥美マリの軟体動物シリーズ五作目。脚本は「白昼の襲撃」の白坂依志夫と安本莞二の共同執筆。監督は「続・いそぎんちゃく」の臼坂礼次郎。撮影は「夜のいそぎんちゃく」の上原明がそれぞれ担当。
雑誌社に勤める姉伸子を頼って上京した、自由奔放な娘ゆみは、街で見かけたミュージカル新人募集のポスターに惹かれ出場するが、素人のゆみはあえなく落ちてしまう。うさ晴らしに会場で知りあった、フォトモデルの久子と、アングラ俳優の五郎の三人でゴーゴースナックに遊びにいく。踊りまくるゆみの躍動する美しい肢体に目をつけた久子は、キャメラマンの小泉をゆみに紹介し、フォトモデルとして一緒にやろうと誘う。ゆみはこれを承諾するが、久子との全裸でからんだレスビアン写真やサド・マゾ的な写真ばかり撮られ、それがいかがわしい目的に使われているのを知って激怒し、久子のもとを飛び出した。そんな時、姉伸子の恋人谷沢が、伸子の留守中にアパートに来て、退屈しているゆみを海に誘う。谷沢は浜辺でビキニ姿になったゆみの豊満でみずみずしい肉体に魅せられ誘惑する。太陽と海にかこまれて開放的な気分になったゆみはあっさりと全てを許すが、これを伸子に知られてアパートを追い出されてしまった。金もなく、頼る人もないゆみを救ってくれたのは気の良いマッサージ師利恵であった。利恵の紹介でマッサージ師になったゆみは、その抜群のお色気によってたちまち売れっ子になったが、利恵の恋人でジャズシンガーの謙二に誘惑され、これを拒絶したため、謙二の中傷で誤解した利恵と大喧嘩のあげくマッサージ師をやめる羽目になってしまったり何をやってもうまくいかないゆみは、マッサージで稼いだ金があることを幸いに以前から夢みていた豪華なホテルずまいを始めるが、所持金を全部盗まれふたたび窮地に追いつめられる。その苦境を救ってくれるのは、兵藤興業グループの女社長兵藤貴子であった。かねてよりゆみの美貌と素晴らしい肉体に目をつけていた、貴子は交換条件として彼女の一人息子の強度な女性恐怖症を治してくれるようにと依頼する。やがて、ゆみの全ての魅力を結集した献身的な治療が効を奏し、正男は一人前の男性としてゆみを愛することができるようになってくる。役目を果たし兵藤家を去ったゆみは、コマーシャル・キャメラマン津川洋によって一流会社“サン化粧品”の専属モデルとして一躍売り出されたが、有名になったゆみのもとには姉の恋人谷沢が色じかけで、小泉は昔の写真を持って恐喝に来た。マスコミを利用して防戦しようという津川とディレクターの神山に首を横に振ったゆみは「私は一人で自由に生きたい」と言って何処ともなく去っていった。
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