札幌オリンピック
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札幌オリンピック

1972年6月24日公開、166分、ドキュメンタリー
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昭和47年2月3日より11日間に渡り、北海道・札幌で開催された、第11回冬季オリンピックの公式記録映画である。脚本は、山田信夫、虫朗亜呂無、小笠原基生、富岡多恵子の共同執筆。監督は「沈黙」の篠田正浩。

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ストーリー

プロローグ。灰色の低い空と、凍りつくような冷たい風と、あらゆる全てを埋めつくす深い雪。それら自然が与えた一年の半分にも及ぶ苦役に耐え、克服し、そして力強く活動しつづける百万都市・札幌。その札幌で、今、世紀の冬の祭典が開かれようとしている。ギリシャ・オリンピアで点火された聖火が、沖縄、東京を経由して北海道に上陸。道東、道北、道南と三コースに別れ、一路札幌へ向う。一方、続々と千歳空港に到着する各国選手団。/開会式。五万の観衆に埋めつくされた真駒内競技場。参加三十五ヵ国千百二十八人。ポールに翻る各国々旗、各国選手団入場。ギリシャ以下、アルファベット順による華麗なコスチューム・プレイのセレモニーである。天皇陛下、開会を宣言。オリンピック旗入場、掲揚。十六歳の少女と少年による聖火入場、点火、その頃、恵庭岳では、すでに滑降選手たちの公式練習が始まっている。/滑降競技。空気や雪や心理の抵抗を極力少くし、できるだけ直線的に、できるだけ光の性質に自分を近ずける。人間が申し分ない稲妻型の立体に変化できることは、奇蹟である。滑降競技とは、奇蹟の実現を争う競技である。優勝者は、男子ベルンハルト・ルッシ(スイス)女子マリテレーゼ・ナディヒ(スイス)/スピード・スケード。鋭利な獣骨の刃を思わせるスケートの金属的な光。光が風を呼び空気を斬ってすてる。優勝者は、男子、五百メートル、エアハルト・ケラー(西ドイツ)、千五百・五千・一万メートル、アルト・シェンク(オランダ)。女子、五百、アン・ヘニング(アメリカ)、千、モニカ・ブルーク(西ドイツ)、千五百、ダイアン・ホルム(アメリカ)三千、スチーン・カイザー(オランダ)、/選手村。緊張と緊張の間にゆれ動く選手の肉体と情念。/複合競技。ジャンプの瞬発力と距離の持久力。運動のうえではまったく異った要素の組み合せに優れた力を発揮する者が優勝者となる。優勝者は、ウルリッヒ・ウェーリング(東ドイツ)。/リュージュ・ボブスレー。クルー同志の一体感の確認。クルーとソリの一体感の発見、その瞬間の陶酔。リュージュは木のソリ、ボブスレーは鋼鉄のソリである。優勝者は、リュージュ一人乗り男子は、ウォルフガング・シャイデル(東ドイツ)、女子は、アンナマリア・ミュラー(東ドイツ)。二人乗りは、イタリア組と東ドイツ組が同タイム優勝。ボブスレー二人乗りは、西ドイツ組、四人乗り組は、スイスA組。/アイス・ホッケー。ダイナミズムとスピードの魅力。変幻自在にゲームの場が誕生し、消滅し、甦える。優勝は、ソ連。/フィギュア・スケート。コンパルソリーの厳密さと、フリーの華麗さという自己表現に到達する選手の孤独。優勝者は、男子オンドレイ・ネペラ(チェコ)、女子ベアトリクス・シューバ(オーストリア)、ペア、ソ連。/バイアスロン。射撃とクロスカントリー、静止と激動、精神の制御と肉体の燃焼という二律背反のドラマ。優勝者は、個人マグナル・ソルベリ(ノルウェー)、リレー、ソ連。/プレス・センター。タイプ・ライターをたたく、電話をかける、紙に文字を書いている記者、スナックでお茶を飲んでいる記者たち。/雪。札幌の街の表情。/大回転。雪を滑ることの本来の素晴しさ、流麗さと、海を見おろす展望の美しさ。優勝者は、男子グスタボ・トエニ(イタリア)女子マリテレーゼ・ナディヒ(スイス)。/回転。斜面に、音符のように並べられたポールセッターと選手との心理的な葛藤。優勝者は、男子フランシスコ・F・オチョア(スペイン)。女子バーバラ・コクラン(アメリカ)/距離。スキーと人間の結びつきの原点を確認すべき、苛烈なレースの展開。優勝者は男子、十五キロ、スベンオーケ・ルンベッキ(スウェーデン)三十キロ、ビヤチェスラフ・ベデニン(ソ運)、五十キロ、ポール・チルドム(ノルウェー)リレー、ソ連。女子、五キロ・十キロ、ガリナ・クラコワ、リレー、ソ連。/ジャンプ。スキーを翼に変えたという、人間がその風土の中で成し得た奇蹟の分析と称賛。優勝者は、70メートル級、笠谷幸生、90メートル級、ボイチェフ・フォルトナ(ポーランド)/エピローグ。閉会式。十一日間にわたった激闘のあとに来る感動と感傷が、今、静かに人々の間に拡がっていく。雪が降っている。札幌の街が雪の中に霞んでいる。街の中に、散って行く外国選手たち。雪が降る。雪が降る……。

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作品データ

製作年
1972年
製作国
日本
配給
東宝=松竹
初公開日
1972年6月24日
上映時間
166分
製作会社
社団法人ニュース映画製作者連盟
ジャンル
ドキュメンタリー


[c]キネマ旬報社