原英美
清美
バー“Q”のホステス清美は幼い頃に出あった性の恐怖から女性との交渉にしか体は燃えなかった。ある日、清美が可愛いがっていた麗子が裏切り、男と寝たことを知り、やけになっていると、“Q”のマダムに、会社社長、宇内の相手をするように頼まれたが、やはり、いざとなると恐怖のあまり逃げ出すのだった。しかし、ふと知り合った薫のテクニックの前にだけは男性拒否の肉体も欲情に燃え上がるのだった。清美は“Q”のマダムにふたたび宇内の相手を頼まれる。一計を案じた薫は、清美と宇内の部屋に入り暗くしてから、薫と清美が入れ替り、そのテクニックを駆使して宇内を満足させることに成功した。それからしばらくして、清美の前に昔の恋人の芦田が現われた。芦田の甘い言葉に、誘われ、抱かれた清美は、薫に抱かれたとき以上の快感が走り、幾度も絶頂に達するのだった。翌日芦田と彼女との出合いは偶然ではなく、薫の清美と別れるための企みだと清美は知ったが、本当の歓びを知った今は、もうどうでもよい事であった。
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