監督
ストーリー
昭和47年6月22日。北海道で二風谷アイヌ文化資料館が開館された。これまで多くの和人アイヌ学者によって、アイヌは滅びてしまった民族、あるいは滅びていく民族として取り扱われてきた。しかし、アイヌは滅びゆく民族ではない。アイヌは侵略者=天皇族の軍隊といく度も果敢な戦争をくり返しながら、今なお屈しはしない。これからも原始共産制の伝統に生きようとする民族である。彼らが北海道の地を返せと叫ぶのは“自然”を返せと言っているのである。彼らにとっての自然とは、高度成長に加担してきた市民のノスタルジアでも国鉄の薄手の宣伝文句でも、まして観光地などではない。それはカムイの生地であり、民族の共生の場であり、民族の回帰の場であり民族の文化の総ての源であるからなのだ。その自然=彼らの世界を取り返すこと、それがアイヌ民族の叫びでもある。アイヌ=原始共産制に生きた彼ら、日本原住民の力強い解放のメッセージを、一九七二年という、アイヌ解放、独立の戦いの火ぶたが切られ、燎原の火の如く復権への雄叫びがアイヌ同胞の魂を燃えあがらせた記念すべき年に未来への布石として記録していく。
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