沢村訥升
笛弦之介
「ふり袖小姓捕物帖 蛇姫囃子」につづくふり袖小姓捕物帖シリーズの第二作。スタッフはいずれも「ふり袖小姓捕物帖 蛇姫囃子」の顔ぶれ。
美濃屋のお篠が、淡島明神へ子ノ刻参りの帰途、行方不明となり、翌日、魂が抜けたような風態で家に戻ってきた。この話を聞いたふり袖小姓笛弦之介は、早速美濃屋に駈けこんだが、一家の者は皆殺されていた。とくにお篠は胸に「朱」一字の刺青を残して惨殺されていた。さらに、淡島明神の大師堂で、二人の娘が胸に「朱」の刺青をのぞかせて短刀で突き殺される事件が起った。弦之介は長屋の衆とともに、淡島明神にかくれ、子ノ刻参りの模様を見守った。鐘が子ノ刻を告げると、参拝をすませた一人の町娘を、四、五人の人影がさらった。弦之介は一行を追跡したが、一味の姿は消えてしまった。翌日、また娘が殺された。例のごとく胸に「朱」の刺青があり、短刀で一つきにされていた。弦之介は、江戸城内の書庫で、刀剣、種族に関する文献を調べた。秩父天領秘境に住む「朱紋一族」の項が目に入った。さらに弦之介は、長屋の衆の探索で次のような手がかりをつかんだ。第一に殺された娘の生国が、すべて信州、甲州、武州であること。第二に大人数の仕業で変った者の結社であるらしいこと。第三にこの結社が変った所に隠れていること。第四に誰の目にもふれていないこと。これらから賊の手口は分ったが、目的が分らない。実は朱紋一族は、甚兵衛を頭に十七年前神がくしに会った先代首領の娘をさがしに、江戸へ出ていたのだ。しかし、一味の中で秩父三卿を奪おうとする伝蔵らは、子年の娘を殺し、騒ぎを大きくして江戸を去ろうとしていた。しかも、伝蔵は甚兵衛の孫あぐりに邪恋を抱いていた。だが、あぐりは追ってきた弦之介の心に触れ、伝蔵を避けた。伝蔵らは甚兵衛、あぐりらの虐殺を企んだ。一瞬、弦之介が駈けこみ、野望をくじいた。やがて、朱紋一族は秩父一族と名をかえ平和郷へと帰っていった。
笛弦之介
周次郎
お市
将軍
秋元但島守
秩父の甚兵衛
あぐり
長次
助七
お蘭
権十
茂平
平六
又三
玄達
勘八
嘉兵衛
小平
浪江
弥市
伝蔵
喜六
今朝吉
お篠
お絹
お絹の母
町娘
同心
お杉
おでん屋の親爺
死んでいる娘
死んでいる娘
平六の女房
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