二谷英明
神永五郎
山村正夫の原作を「都会の空の非常線」の小川英が脚色。「兇悪の波止場」の古川卓巳が監督したアクションもの。撮影は「峠を渡る若い風」の伊佐山三郎。
都内に連続殺人事件が起り巨額の金が強奪された。証拠を残さぬ巧妙な手口に、捜査は難航した。神永五郎は指令者以外は誰も知らない潜行秘密捜査官に任命された。三つの手掛り、殺人に使用された弾丸が未輸入のもの、奪われた一万円札八百枚が続き番号、殺された経理課長の情婦夏子が事件と同時に行方不明--から狙いをつけたのが暴力団郷田組の経営するクラブで以前夏子のいた“シャトー”だった。そこで郷田の乾分三木を知りその言葉尻から、郷田の経営するゴルフクラブの事務員ユカリに近づいた。その夜神永は郷田組のチンピラに襲われ、乱闘の末パトカーに逮捕された。釈放された神永は外国人に高級ホテルへ連れて行かれたが郷田、三木、用心棒周、情婦ユカリを従えたボス李が待っていた。保釈金は李が積んだのだった。李は神永の腕を試して用心棒になってくれと頼んだ。彼らはゴルフクラブに来る客を物色しカモにした。明和銀行支店長野崎は一人娘洋子の生命を楯に金庫破りを強制されていた。神永が郷田を尾行すると彼は女と安ホテルに入った。失踪した夏子だった。夏子は郷田の情婦だったが課長殺しに利用された後騙されて売られたのだ。それをきいた郷田は激怒し李に拳銃を構えたが、逆に滅多打にされた。神永は郷田を地下に監禁しに行く途中わざと逃がした。銀行襲撃の時が迫った。突如ユカリが神永に四千万円隠してある貸金庫の鍵を渡して一緒に逃げてくれと頼んだ。李は香水の残香からユカリの仕業と判断、二人が一緒にいたときいて周に後を追えと命じた。ユカリの報で警官隊が銀行に着いた時一味は札束を奪い野崎を拉致して逃走した後だった。草原にある李の隠れ家の地下室では神永と野崎が標的にされていた。棺桶が二つ運ばれた。そこから復讐に燃えた郷田が躍り出、神永の手にいつか握られた小型の拳銃が李の心臓に向けられた。パトカーのサイレンが近づいた時李は観念した。夜露を踏み去って行く神永の背に、闇より濃い孤独の影が舞い降りた。
神永五郎
西条ユカリ
李白明
周
郷田浩三
三木辰次
野崎
江崎
須藤主任
吉岡
指令者
運転手
警備員
矢口
土屋
田辺
広田
洋子
夫人
殺し屋A
殺し屋B
殺し屋C
殺し屋D
経理課長
森
経理部長
美代子
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