![宇津井健](/img/common/temporaryImage.png)
宇津井健
百谷泉一郎
高木彬光原作を「右門捕物帖 卍蜘蛛」の高岩肇が脚色。「続 悪名」の田中徳三が監督したミステリーもの。撮影は「うるさい妹たち」の小林節雄。
井上金融の社長宅。一人息子の節夫が誘拐されたという報せに家中は騒然とした。この家の主、庄蔵は、自分の一族の犠牲の上に立ってあくらつな金貸しを営む強欲な男であり、家族たちからは勿論、取引関係者や他人からも憎まれていた。金を目あての誘拐か、それとも他の目的……で。強欲な庄蔵もさすが一粒種の節夫のために、金に糸目をつけずに必死の捜索をつづけるのだった。同時に、疑惑の眼は家庭の内部にも向けられざるを得なかった。それほど井上家は複雑なのだ。同居の家族には、バーの女から井上の後妻におさまった妙子、その妹の光子、昔から井上家のお手伝いとして住んでいる稲と庄蔵との間にできた子供の定夫、それに庄蔵の腹違いの弟の卓二。それぞれ利害関係から庄蔵に対して憎しみを抱いていた。やっきとなる庄蔵一家をしりめに、犯人は巧妙な方法で脅迫を続けた。そのやり口は実にぬけ目がなく、木村事件として世をさわがせた誘拐事件の失敗点をことごとく知りつくしている様子だった。犯人の誘拐した目的もいまだに判然としない。そんなある日、ついに犯人からの速達が舞い込んだ。一千万の金を入れたトランクをさげた卓二の前に現れたのは若い女だった。タクシーに乗った女を追跡する卓二。とうとう女を見失った卓二は庄蔵から罵倒を浴びせられるのだった。翌日、その女も何者かに殺害され死体は道端に捨てられてあった。これで捜査陣も壁につきあたり、事件は迷宮入りになりそうだった。そんな時、光子の依頼で登上したのが木村事件の弁護を担当した百谷弁護士だった。木村事件を研究し完全犯罪をたくらんだ犯人は、百谷の明察により次第に追いこまれた。すべては義兄の財産をねらってたくらんだ卓二の犯罪だった。節夫は、すでに卓二の手で殺されていた。卓二の入念に計画された完全犯罪もすべて水泡に帰したのだった。
百谷泉一郎
妻明子
井上庄蔵
妻妙子
弟卓二
島崎光子
山本稲
山本定夫
広津保富
朝比奈
谷岡
河守
森山課長
榎本警部補
深谷刑事
矢田部刑事
加藤刑事
宮下刑事
今井刑事
菊地刑事
須貝刑事
原浩一
岡山敏雄
丸根欽司
丘たみ子
荒巻裁判長
高岡検事
木村繁房
尾山たか
尾山敏幸
時田英子
近藤巡査
吉田
十二社付近の主婦A
十二社付近の主婦B
十二社付近の主婦C
小川運転手
中年の男
女事務員
井上家の女中
田舎の青年
時計売りの男
酒屋の店員
電気屋
記者
廷吏
[c]キネマ旬報社