田宮二郎
朝比奈豊
梶山季之原作のベストセラーで同名小説の映画化。「雁の寺」の舟橋和郎と石松愛弘が共同で脚色、「爛」の増村保造が監督した産業スパイもの。撮影は「黒蜥蜴(1962)」の中川芳久。
ハイウェイを突ッ走る覆面車がカーブを切ったとたん、横転して炎に包まれた。翌日、自動車業界紙は、「タイガー試作車炎上、新車生産計画挫折か?」の記事を写真入りで報道した。タイガー自動車では、競争会社ヤマトに試作車パイオニアのテストが事前に洩れ、写真まで撮られたことが問題になった。今後の対策として小野田企画部長は朝比奈部員らと協議、スポーツ・カーのパイオニアを大衆車のように見せかける偽のデータを作り、敵方ヤマトを混乱させようと図った。またヤマトの馬渡企画本部長がバー「パンドラ」の常連と知るや、朝比奈は恋人昌子を女給として勤めさせ、馬渡の身辺を探らせた。あらゆる手段で資料を集めた結果、ヤマトでも秘密裡にスポーツ・カーを製作中であり、しかもタイガーがイタリアのデザイナーに依頼して作らせたデザインまで盗まれていることが判った。こうして、デザインと車種の競争は価格の競争に変った。朝比奈の頼みで馬渡のホテルを訪ねた昌子は、新車に関する重要書類を盗み出したが、貞操を奪われた。高価な代償のおかげでタイガーはヤマトを敗った。勝利の喜びにひたっているとき、パイオニア第一号が東海道本線の踏切で急行列車に衝突、しかも乗っていた芳野という男が車の故障と証言したため、タイガーは苦境に追い込まれた。朝比奈は苦心の末、タイガーの秘密をヤマト側に洩らしたのが平木企画第二課長だとつきとめた。彼はヤマトの馬渡本部長に買収されていたのだ。馬渡は列車妨害の罪に問われ、ヤマトを辞任した。事件が解決し、パイオニアの売れ行きは上昇した。企画第一課長の内定をうけた朝比奈は、会社に辞表を出すと街に飛び出し、傷心の昌子の許へ走るのだった。「現代に生きられなくてもいい。俺は自分のために生きたい」と叫びながら……。
朝比奈豊
宇佐美昌子
平木公男
妻愛子
小野田透
妻久子
馬渡久
秋元加津子
的場捨松
川江敏
関喜一郎
内田正
白井次郎
小栗喜八
嶋元辰郎
田所
望月邦彦
黒川
大山
山中とし子
芳野貫一
森一男
森一男の妻
岡村
工場主
女教師
組合専従者
企画第三課長
企画第四課長
企画第五課長
ライダー
警察係官
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