大川橋蔵
苫の半太郎
「続・座頭市物語」の犬塚稔と「血文字屋敷」の結束信二が共同で脚本を執筆、「ひばりの花笠道中」の河野寿一が監督した人情もの。撮影は「越後獅子祭り(1962)」の伊藤武夫。
ここは東海道馬入川の渡し--。岸を離れる舟に、渡し賃をまけろと声をかけたのは苫の半太郎。それに答えて金を出そうという男が現われた。大阪の米問屋鳴海屋の番頭弥佐平である。彼の横には年の頃十七、八の美しい盲目の娘お菊がいた。この二人は江戸の名医岑海に眼の治療を頼みにゆく道中だった。だが半太郎の出現に苦い顔の三人--。お芳、当九郎、万吉ら旅人目当ての道中師である。カモとにらんだ弥佐平、お菊に連れができたからだ。お菊らに別れた半太郎は、ふとしたことで人の好さそうな旅鴉朝吉と知合いになった。だがこの男、道で金をひろうと大喜びしてどこかへ立ち去った。また一人旅がはじまった。と、ドスンとぶつかった女--。お芳である。お芳は弥佐平からスリとった財布をバレそうになったので半太郎のふところへ突っこんだのである。一方、お芳を追った弥佐平とはぐれたお菊はひと儲けを企む旅の博徒新田の丑松、逢田村の目吉にだまされ、藤沢の宿座古谷の所へ連れこまれた。だがお菊の身元をかぎつけた座古谷兵十と用心棒の熊谷甚十郎が正面衝突、ついに大乱斗となった。この乱斗の最中半太郎はまぎれこんだお芳のため財布を奪い返された。お芳を追った半太郎は途中座古谷、熊谷双方に追われるお菊に出くわした。半太郎はお菊をつれて染物屋に逃れ、ここで朝吉に再会した。だが多勢に無勢、次第に危地におちいるが、事情を知って改心したお芳の力でお菊は無事江戸へ。医者の手術を終えたお菊は母のお茂に見守られていた。そこへ殿様と名乗って甚十郎が家来をつれて乗りこんできた。弥佐平は一行を下にもおかぬもてなしで引きとめた。狼はたちまち牙をむきだしたが--スックと立ったのは半太郎。あっという間もなく叩き斬り月光の中へ立ち去った。
苫の半太郎
朝音
お菊
土筆のお芳
新田の丑松
逢田村の目吉
お茂
弥佐平
熊谷甚十郎
藤方の当九郎
蠍の万吉
座古谷兵十
徳造
六兵衛
お兼
忠七
お時
お梅
お雪
助三
権七
与茂七
正吉
簗瀬岑海
職人A
職人B
職人C
大垣次郎三郎兵衛
船頭
中盆
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