浅見比呂志
英治
三木康士が脚本を執筆、「胎動期 私たちは天使じゃない」の三輪彰が監督したお色気もの。撮影は岡田三八雄。
英治はカメラ技術に特殊な才能を持ちながら、既成のグループに抵抗を感じて背を向け、自らスキャンダルを撮りまくって週刊誌に売りさばく、いわゆる写真トップ屋である。彼は恋人ルリ子とくんで、重役の二号と自分の情事をカメラに収め、それをその重役に送り手切金をとることはもちろん、自分もその会社の重要な地位につくことに成功した。しかし彼の野心は海外へでることだった。彼は金髪女性を犯し、しかもその女性と結婚するということで、アメリカへ渡る話を成立させた。ルリ子は英治がアメリカへ渡ることを知り、「行かないでくれ」と哀願した。だが英治は手切金だと札束を彼女につき出した。彼女はとっさに毒物を飲物に入れ、何くわぬ顔をして乾杯をかわした。数分後英治が苦しみだし、ルリ子も折り重なって倒れた。空港ではすでにタラップがはずされ、不思議そうな顔の金髪娘を乗せたまま、旅客機は一路サンフランシスコへと飛びたっていった。
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