近衛十四郎
柳生十兵衛
五味康祐の同名小説より「右京之介巡察記」の高田宏治がシナリオを執筆、「狐雁一刀流」の松村昌治が監督した忍者もの。撮影は「おかしな奴(1963)」の藤井静。
徳川三代将軍家光の治世、いまだ豊臣藩の残党が都に出没していた。それに対するけん制を目的に買い入れた二千五百挺の銃が何者かによって奪いさられるという事件が勃発した。この事実が漏洩するのを恐れた伊豆守は、秘かに鉄砲探索の密命を柳生家に下した。十兵衛一人の力では危いと見抜いた但馬守は、柳生武芸帖忍の巻を手渡した。後宮十太夫は旅の途中、新宮の小五郎と名のる者に斬られた。そしてなにゆえか。小五郎は十太夫になりすまして柳生別邸に現われた。これをずっとつけて来たのが、忍びらしき男甚五郎。十兵衛の太刀調べに小五郎は素性を見破られた。小五郎は豊臣方に味方して敗れた九鬼嘉隆将軍の家臣であり、嘉隆と弟の城代家老の岩倉刑部と計って御用船を奪った。また嘉隆を助け幕命にそむいた紀州大納言をも一味に加えていると告白した。事実に驚く十兵衛も耳を澄す甚五郎に気づき、一旦「たわ言」と小五郎を追い出し、後を追う甚五郎をつけさせた。甚五郎はやはりまわしものであった。十兵衛の動きを知った岩倉は嘉隆を監禁した。十兵衛は大納言加担の真意を探るべく、大納言の妻白妙の前を通して、狩場で面会したい旨の書状を内通者に手渡した。案の定、手紙は岩倉の手許に届き、その日、狩場で柳生一門を銃で狙い、大納言を海神砦に連れ去った。十兵衛と小五郎の機転で助け出された大納言の前で、岩倉は嘉隆と白妙を人質に海神砦反逆の狼火をあげた。捨身をもって救おうとする十兵衛らの努力も、加倉多門の自爆によって砦におどりこみ白妙の前を救ったが、嘉隆はすでになかった。壮烈な死闘、目をおおう最期に十兵衛の片目に厳しい感慨がこもっていた。
柳生十兵衛
新宮の小五郎
松平伊豆守
柳生但馬守
富田新蔵
加倉井多門
白妙の前
九鬼左近将監
九鬼嘉隆
岩倉刑部大輔