大川橋蔵
名張信蔵
司馬遼太郎の同名小説より、「若様やくざ 江戸っ子天狗」の野上龍雄が脚色、「丹下左膳 乾雲坤竜の巻」の加藤泰が監督した忍者もの。撮影は「雲の剣風の剣」の松井鴻。
熊野の黄金郷と呼ばれる安羅井は、「にぶつ姫縁起」という絵巻物にのみ道中地図があるという秘境だ。この秘境をかぎつけた紀州家が、近時これに対して触手していた。一方老中水野和泉守は、道場練心館主平間退耕斉の歎願書をもとに伊賀忍者の血をひき練心館師範代をつとめる名張信蔵にこの秘境を探るよう密命した。信蔵はその重要な役割を果す「にぶつ姫縁起」を道場で見た事があった。案の定、その絵巻をめぐって不思議な事件が続出し、退耕斉は同門の高力に斬られ、一人娘ちのと共に「--縁起」は練心館から姿を消した。又もう一人水野から密令を受けたものがいた。「猫」と呼ばれる忍びの者である。この「猫」は信蔵を自在にあやつろうと魔女お弓をつかわすが、かえってお弓は好意をもつのみか、信蔵に、この事件で動く人物は全て金が目的と教えられ自分の愚かさに気づいた。こうなっては一刻も早くちのを助ける事が先決問題である。紀州屋を訪れた信蔵は紀州屋徳兵衛を口説いて、ちのと「--縁起」を簡単に手にした。徳兵衛は公儀に恩を売って身の安全を計ろうとしたのだ。裏切りに怒る高力は安羅井の写し絵を奪い、野心を燃やしながら、黄金郷へと足を向けた。信蔵も又ちのと安羅井の里へ。後に怪人猫、お弓、とつづいている。安羅井の里は不穏な空気につつまれていった。
名張信蔵
お勢以
ちの
お弓
高力伝次郎
猫
名張与六
律
平間退耕斉
紀州屋徳兵衛
水野和泉守