二谷英明
有坂明夫
戸川幸夫の原作『南海の肉弾』より「銀座の次郎長 天下の一大事」の中西隆三と「若い港」の銀座三十五が共同で脚色「抜き射ちの竜 拳銃の歌」の野口晴康が監督したアクションもの。撮影は「帝銀事件 死刑囚」の岩佐一泉。
戦後十八年、戦争の傷痕は、まだ黒い血をしたたらせていた。宋明花と有坂明夫父娘の話もその一つだ。太平洋戦争の最中、陸軍少尉有坂は極秘命令を受けて陸軍省情報研究所の門をくぐった。有坂の任務は中国戦線の最先端に潜入し諜報活動を行うことであった。有坂の他、原田、市川の二名は、軍服を脱ぎ連日連夜死にもの狂いの訓練に明け暮れた。半年にわたる猛訓練の結果残ったのは有坂のみ、市川少尉は死亡し、原田は行方不明であった。有坂に中支潜入の命令が下った。宝石商の店員となりゲリラの本拠を探ることだ。前線の軍司令部で有坂は軍籍を剥奪され、生死不明という原田に遭った。彼の訓練中の失敗を恐れた軍が、追放同様に中国前線に送ったのだった。ゲリラの暗躍に悩まされる前線の将兵の間にも自暴自棄の空気が充ちていた。原田もまたニヒルな人間となっていた。有坂は店員となって住み込んだ胡宝石店で、妹の病気のため指輪を売りに来た酒場の女給宋蘭花を知った。彼女が妹の病気に効くキニーネを探していると聞いた有坂は、日本軍の管轄下にある病院の院長宋に頼んだが拒絶された。一方、ゲリラに悩まされる軍司令部は、ゲリラ掃討の一個中隊を用意したが、日本軍は完全に裏をかかれ全滅した。軍法会議に廻された有坂が再び司令部に帰ると、意外な報告が待っていた。蘭花のアパートがゲリラの本拠であり、その首領が宋だというのだ。しかも宋は蘭花の兄だという。この情報を売ったのは原田で金のためにゲリラと日本軍の情報を売っていたのだった。もはや有坂の心には戦争の憎悪と蘭花の愛情だけがあった。砲火の中、蘭花は有坂に彼との娘を預けると機関銃の台座に消えていった。明花はその時の忘れ形見だったのだ。
有坂明夫
宋蘭花
宋明花
宋玉琴
君春
原田
譲司
本郷大佐
木村中佐
大森少佐
田島少佐
市川少尉
胡文求
宋
参謀本部の参謀
千代
O・P通信支局員
監督
原作
撮影
音楽
美術
編集
照明
録音
企画
スチル
構成
脚色
脚色
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