寺島達夫
源九郎
「島育ち」の八木美津雄と「ばりかん親分」の小林久三が共同でシナリオを執筆「結婚の設計」の八木美津雄が監督したアクションもの。撮影はコンビの平瀬静雄。
日本馬賊を父にもった源九郎は、戦死した父の念願通り、東北の牧場の立派な牧童となって成人した。母なきあと、まったくの孤児であったが、源九郎は、明るい若者であった。だが、かねて思いを寄せていた、牧童頭吾平の養女、エリカが、牧場主の息子俊太郎と、未来を約束していると聞いてから、源九郎は村の後家の加代や、飲み屋の菊代でうさばらしをしていた。ある日、突如俊太郎が帰って来た。病床の父にかわって、事業の建て直しのためであった。しかし、東京の女春江を伴っての帰郷は、エリカにとって心痛であった。俊太郎は、牧場を改築して、大ゴルフ場とスキー場の建設を提案していた。村祭りの夜、俊太郎は春江と結婚した。悲しみのエリカは、その夜、何者かに暴行されると、町を去っていった。その頃から、正体不明の三郎と名乗る男が村に入ってきた。源九郎、吾平、作造の反対も聞かず、いよいよ牧場の改築が始った。そして、金で雇われた三郎は、牧場改築に反対する人々を犠牲にしていった。源九郎は、がまんならず三郎と対決したが、ついに源九郎も牧場を追われ町に出た。町では、エリカが踊り子となって働いていた。働き場所のない源九郎は、町のボス大勝に目をつけられ、港湾労務者の人入れ稼業を手伝った。大勝に利用された源九郎は、港会との対立の中に入り、かってエリカに暴行を加えた三郎らを傷つけた。刑務所送りとなった源九郎に、純真なエリカだけが心の支えであった。刑を終えた源九郎はエリカのために必死で働いた。しかし、三郎だけは執拗に源九郎を追いまわし、「昔のケリをつけよう!」とせまった。が明日をもしれないエリカを思うと源九郎の心は、動かなかった。そして木枯しの吹く頃、エリカは若い命を断った。源九郎は、三郎との決闘を受けて、独り太平原の真只中に立ったのだった。
源九郎
エリカ
俊太郎
春江
吾平
加代
菊代
芳子
三郎
げじげじの辰
大勝親分
鬼虎
北海の熊
作造
藤兵衛
加代の母
宴席の男
飯場の男
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