石原裕次郎
徳川新六
柴田錬三郎の原作から、「女犯破戒」の下飯坂菊馬と、「地獄の波止場(1965)」の瀬川昌治が共同でシナリオを執筆。「日本仁侠伝 血祭り喧嘩状」の舛田利雄が監督したアクションもの。撮影は「赤いグラス」の山崎善弘が担当した。
政界から引退し、愛人の鶴代とともにひっそり余生を送っている千成は、現在の腐りきった政治に腹をたて、部下の徳川新六を使い自主党を津守とその資金源銀座の洋品店主中戸川、同じく大阪の麻薬王田門の失脚を計っていた。そして千成は、津守達が近い内に香港のバイヤー郭文成と、麻薬の大取引を計画し、彼等の周辺は極度に警戒を強めている、という情報をキャッチしていた。そこで、津守達の女を誘惑し、彼等を不安な状況に陥らせる、それが千成から新六への命令だった。第一弾、箱根のゴルフ場で、津守夫人高子を強引にものにした新六は、さらに彼女の尻に電気刺青で、自分のイニシャルを刻みこんだ。第二弾、中戸川の情婦ゆかりの別荘に忍びこんだ新六は、彼女の父親が中戸川に殺され、復讐のため情婦になっていることを知り、手を下ろさずに部下にすることができた。第三弾、大阪に飛んだ新六は、田門の娘正子のヌード写真を撮り、田門を脅迫した。そうしたある日、中戸川の死体が発見された。千成の思惑通り、取引を目前にした津守達に仲間割れが生じたのだった。さらに、津守が田門に殺された。残る田門を狙えと、千成の最後の命令が新六に届いた。多数の手下に囲まれた田門の抵抗は予想以上に強く、舞台は郭との取引き場所東京港シーホーク号に移った。しかし、船内で新六が見たものは、郭と千成との堅い握手の姿だった。すなわち千成は、政敵の津守を倒すため天誅という美名に隠れて、新六を操っていたのだった。すべてを理解した新六の怒りは一挙に爆発した。――東京港埠頭。千成達を倒した新六を、優しく迎えるゆかりのうれしそうな姿があった。
徳川新六
飛鳥井ゆかり
鶴代
田門正子
津守高子
梨花
草壁多津枝
千成
津守広茂
中戸川藤一郎
田門
郭文成
白木
佐治
桜木
村上
鉄道公安官
三好
[c]キネマ旬報社