伴淳三郎
横田番作
二等兵物語シリーズの第九話で、今回は日支事変最中の中支最前線が舞台。「江戸の顔役」の安田重夫の脚本を「忍術武者修行」のコンビ福田晴一が監督し、片岡清が撮影した。
中支。小都市に駐屯していた中支派遣軍第一〇三〇部隊に二人の二等兵が転属されて来た。すばしっこいが慌て者の横田と、正直一途で要領の悪い花岡である。二人は無二の親友だった。中国料理屋のコックをしていた横田は、この機会に本場の味を覚えたいと、親日派で有名な東来菜館主人の陳に弟子入りを志願したが断わられた。陳は実はゲリラ隊の隊長で、ひそかに罐詰にダイナマイトを仕かけていたのだ。そのころ、慰安所ではむりやり働かされている肺病の花江に同情した一同が、待遇改善を要求してストライキに入った。長田隊長はお気にいりのみどりを残して、他の慰安婦には前進命令を発した。彼女らが出発した夜、みどりを抱こうとした長田隊長は、それが花江なのにびっくりした。花江に同情したみどりが身代りになって出発したのだ。慰安婦が全員捕虜になったという報が入った。決死隊が選抜され、救出のために敵中に潜入することになった。居残り組の花岡は、選に入ってがっかりしている横田のために罐詰をかすめてきた。救出隊は陳を長としたゲリラ隊に襲われ悪戦苦闘。横田は迷いこんだ山小屋で中国軍将校に化け、軍司令部に入った。が、その正体を陳に見破られる。横田は中国軍婦人少尉秀蓮に救われ、逃亡した。陳らは後を追う。横田の腰に吊してあったダイナマイト入りの罐詰が落ち中国軍トラックの車輪に入った。誘発された地雷とともに大音響。中国軍トラックは全滅した。喜ぶ横田や慰安婦たちの前に、軽機関銃を手にした血みどろの陳が現われた。と、その瞬間陳が倒れた。秀蓮が射ったのだ。数日後、新たに荒木少佐が赴任し、その指揮の下に部隊は任地へ旅立った。
横田番作
花岡茶吉
呉太平
秀蓮
鈴子
みどり
千賀子
花江
雪子
春代
内田
陳陽明
王
張
伯
宋
朱芳麗
荒木少佐
長田大尉
松木中尉
島崎少尉
村上少尉
辻見習士官
藤村準尉
五味軍曹
松本軍曹
森川伍長
東郷兵長
内藤上等兵
諸木上等兵
矢田一等兵
野村一等兵
坂上二等兵
錘中佐
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