萬屋錦之介
親鸞
「宮本武蔵」などで有名な吉川英治の原作を、「浪花の恋の物語」(1959)の成澤昌茂が脚色し「若い川の流れ」(1959)の田坂具隆が監督した。撮影は「さいころ無宿」(1960)の坪井誠が担当。第二部は「続・親鸞」として公開された。
◇第一部 親鸞は幼なくして青蓮院慈円僧正の許で得度、程なく比叡山に登って修業をつんだ。十九歳で山を下り、さら性善坊と法隆寺の学寮で学究にいそしんだ。恋におちた弟の朝麿と刀鍛冶の娘梢が救いを求めてきた。病床にふす朝麿は木賃宿で、野武士風の男の情を受けた。彼は盗賊天城四郎だった。二人を伴い、親鸞は京に向った。途中、天城一味に梢を奪われた。親鸞は失意の朝麿を京に送り、磯長の叡福寺に篭った。三年間、苦行の世界をさまよった。再び青蓮院を訪れ、僧正の兄藤原兼実の娘玉日姫を知った。玉日にひかれる心を抑え、叡山に登った。やがて、少僧都の位を授けられ、東山聖光院の門跡に補せられた。ある夕、野党に襲われる女を救った。玉日姫だった。夜の闇にまぎれ、親鸞は姫の屋敷に忍ぶようになった。自責の念にたえられず、叡山に逃れようとした。姫は追った。その姫に魔手をのばす天城一味に、親鸞の竹杖が唸りを立てた--。 ◇第二部 五年の歳月が経った。飯室谷の無動寺に籠もっていた親鸞は、養父範綱の死を知った。巷では、親鸞が寺を抜けだし、玉日姫の許へ通っているとの風説が流れていた。親鸞の迷いはとけなかった。法然上人の許に向った。上人の説話に涙し、念仏を唱える庶民の表情に、親鸞はやすらぎと幸福感をおぼえた。親鸞は上人の手で慈悲の門に拾われ、他力念仏門に一転した。慈円を訪ね、玉日姫を妻に迎えたいと申し出た。凡人にかえって極楽に生れようとする親鸞の大誓願だった。親鸞と姫は結ばれた。都大路の興奮のなかで、親鸞はただ「なむあみだぶつ」と念仏、合掌するのみだった。
親鸞
朝麿
六条範綱
性善坊
覚明
慈円僧正
月輪兼実
玉日姫
万野
高松衛門
天城四郎
蜘蛛太
梢
法印聖覚
峰阿弥
弁海
如海
覚運
静厳
天海
釈源
最円
実性
鷹司右大臣
冷泉大納言
日野経房
一条友範
蓮空僧正
助蔵
萱野
国助
梶葉
老婆
法然
西仙房心寂
聖光房弁長
空港
念阿
堪空
盛運
住蓮
安楽坊
九条実篤
経成
行経
友則
定経
松虫
鈴虫
弟子僧の老人
烏帽子師
弓師の老人
法師
職人
香具師
老傀儡師
荒法師
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