森美樹
榊原信幸
主君への殉死を命じられた若侍とその兄夫婦が、武家社会の不条理に翻弄され、苦悩する姿を描いた森川英太朗のオリジナル脚本による監督デビュー作。昭和6年生まれ、慶応大学文学部を卒業後、昭和30年に松竹京都に入社した森川は、主に大曽根辰保監督に師事した。ヌーヴェルヴァーグ期の松竹における京都撮影所からの鮮やかな時代劇。
殉死が主家を救う唯一の道であり、名誉とされた頃。本多家十二万三千石の若君の死により、榊原信幸の弟伊織に白羽の矢が立った。死んだ若君とは三度しか会ったことのない十六歳の伊織だったが、兄にさとされ、城中の持仏堂参籠へ。追善のため五日間の供養をするのだ。伊織の殉死決定で信幸は百石の加増と御側衆に抜擢された。伊織に墓参のため宿下りが許されることになった。実の子のように育てた信幸の妻お幸は、彼を青いつぼみのまま死なせたくなかった。お幸は信幸に、伊織との同衾を願った。伊織は憧れであった義姉と一夜をともにした。母親としての気持で伊織を抱いたお幸だったが、伊織のことを思うと体が燃えた。夫への詑びを遺書にしたためた。その時、殉死罷りならぬの上意書、昨日までは死ねと命じてきた同じ紙切れが、今日からは死んでならぬという。伊織はお幸とともに逃亡した。お幸とあい抱いた。お幸は死のうと懐剣を伊織の体に突きさした。駈けつけた信幸の刄が、伊織を斬った。お幸は目から懐剣をつきたてた。信幸は凝然と立ちつくした。
榊原信幸
榊原お幸
榊原伊織
脇田将監
脇田おりん
脇田権三
脇田慎吾
慎左衛門
杢兵衛
万之勘
一蔵
若侍
新七
嘉門
竜馬
兼良
長井主水正
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