四代目中村雀右衛門
遠山金四郎
製作は「風雲千両船」の清川峰輔、脚本も同じく三村伸太郎が新人高木恒穂の協力を得て書き、監督には「夕焼け富士」の中川信夫が当っている。撮影は「風雲千両船」の安本淳。出演者は、「風雲千両船」の大谷友右衛門が遠山金四郎に扮し、「夫婦」の岡田茉莉子、「七色の街」の広瀬嘉子、「二人の母」の浜田百合子、千石規子などと、加東大介、柳家金語楼などの助役陣である。
ここ湯島天神の境内、茶屋「白梅」の奥座敷では、天神長屋の人気者金さんがのん気に寝ころんでいたり白梅のお蝶はその金さんに惚れ込んで、岡っ引鬼太郎が取り持つ旗本水野三十郎を振り続けていた。鬼太郎はこの金さんをうさんとにらんで見張っていた。長屋に住む謎の浪人者戸川政兵衛は或夜何者かに殺されたが、政兵衛が前にすられた財布が長屋の魚屋太肋の手にひろわれ、そのなかにあった手紙から、その当夜金さんは政兵衛所持の重要書類を手に入れるが、犯人を取り逃した。そんな事と知らぬ鬼太郎は金さんを下手人とにらんだ。現場からふらりと近くの寄席へ行った金さんはそこで正義感の強い講釈師虎八と知り合いその要心棒に住み込み隣家に住んでいる同じ寄席で評判の娘手踊お琴と親しくなった。このお琴の美貌に又しても眼をつけたのが水野。お琴は又その水野を親の仇とつけねらっているときいて金さんは殺人はいかん、とお琴をいさめた。政兵衛の下手人はその妾、常盤津師匠お紋の情夫八十川一角という浪人。彼は水野の秘密を握っているらしく彼をゆすりに行ってかえって大川へ斬って落される。湯島天神の節分会の年男は水野。それをねらって群衆の中に、幽鬼の如き八十川一角や短銃の狙いをつけるお琴の姿があった。が、事の起る前に乗込んだ捕手に水野を始め八十川やお紋まで捕えられ、急造りの社務所の白洲にひきすえられた。これを裁く奉行こそ金さんこと北町奉行遠山左衛門尉。お琴は実は水野や八十川の極悪非道の犠牲者伊賀阿波守の息女、政兵衛はその家臣であったことが明るみに出され、彼女は罪を犯すことなく親の仇を討つことが出来た。晴れて国元へ立つお琴を見送る長屋の人々。金さんも気をもむお蝶をよそに、いつまでもその後姿を見送っていた。
遠山金四郎
魚屋太助
女房おはな
一龍斎虎八
水野三十郎
八十川一角
閻魔の鬼太郎
早瀬辰馬
お琴
戸川政兵衛
茶屋女お蝶
常盤津師匠お紋
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