菅原謙二
高木権平
「わが恋はリラの木蔭に」の中山正男の原作を、「花の生涯」の八住利雄が脚色し、「春雪の門」の佐伯幸三が監督している。撮影は「あにいもうと(1953)」の峰重義、音楽は「ひろしま」の伊福部昭の担当。出演者は「春雲の門」の菅原謙二「続々十代の性典」の若尾文子、「急襲桶狭間」の進藤英太郎、「君に捧げし命なりせば」の宇野重吉、清水将夫など。
北海道のR町の営林署へ技手として赴任して来た高木権平は、“熊”と異名のある直情径行の熱血漢である。彼は歓迎会の宴席で早くも、深沢有造をかばってこの地方の木材ボス松田大八と渡り合った。大八は有造の娘お駒に惚れていたのだが、お駒が色よい返事をしないので、何かと有造に当り散らすのだった。翌日、権平は山に入るが、山子達は大八の命令で明らかに彼に敵対した。が、山の飯場で働くお駒は、父が彼に助けられた事を知って何くれとなく世話をする。権平が山に入ってからというもの、検査は適正で大八達は不正が出来ないので、金やら色仕掛やら権平の懐柔策をはかるが、彼の態度は一向に揺がない。遂に松田一派は最後の手段に移り、それからというもの、権平の命に関わる様々な事件が瀕発する。そんな時いつも彼の危機を救ってくれたのはお駒だった。ひたむきに権平を想うお駒の純真な気持に権平も次第に惹かれていった。山の木の乱伐を恐れた権平は、小学校の子供達の植林熱を昂揚し、その中の一人大八の息子大吉とも仲良しになった。一方、大八は権平を葬るため子分達に火つけをさせたので、丁度植林に上っていた子供達が危機に陥り、大八は我を忘れて吾が子の名を叫ぶのだった。突然権平は燃え狂う火の中に飛びこみ、大吉を救った。以来大八と権平は和解し、権平はお駒と結ばれた。
高木権平
お駒
深沢有造
北島
娘美枝子
仁羽技手
竹本
松田大八
息子大吉
たくらんけの吉市
ガンべの三造
すってんの熊吉
アジャアの甚助
千代
おくみ
[c]キネマ旬報社