萬屋錦之介
獅子丸一平
毎日新聞連載の川口松太郎の原作を「くちづけ(1955)」の松山善三が脚色し、「源義経」の萩原遼が監督、吉田貞次が撮影を担当する。主なる出演者は、「織田信長」の中村錦之助、月形竜之介、「だんまり又平 飛龍無双」の喜多川千鶴、「御存知快傑黒頭巾 新選組追撃」の千原しのぶ、「源義経」の中村時蔵、「荒木又右衛門」の小沢栄など。
天明八年、京都の大火は御所にも飛火し、帝は聖護院へ避難された。そこには大庄屋の娘茂がいた。やがて、帝と茂は逢瀬を楽しむようになったが、二人の仲は上皇に裂かれた。だか、茂はすでに帝の子を宿していたので、上皇のお咎めを恐れる両親は、茂を大阪の伯父に預けることにし、茂は九州柳河の浪人新宮寺光春に護られて大阪に向う途中、上皇の命を帯びた正親町中将の手の者に襲われた。帝の父閑院宮は主佐藩の大阪屋敷に二人をかくまうが、新宮寺が中将を斬ったので後難を恐れる士佐藩は二人を船で土佐へ逃がそうとした。ところが、船は熊野灘で難波し、新宮寺と茂は島に打ち上げられた。その後、二人は三河国猿投山に移り住むうち、茂は帝の子を生み、獅子丸と名づけた。光春と茂は改めて夫婦となり、十五年の歳月が流れた。ある日、獅子丸は深山で山神と称する白髪の老人に逢い、苦難の修業を積んで不死身の通力を得、ついで山賊にかどわされた江戸の娘千代野を救出、夫婦約束をして別れた。やがて元服した獅子丸は、名を一平と改め、千代野を迎えるため江戸へいった。ところが彼女は将軍家斎に所望されており、一平は尾州藩の牢獄に監禁の身となった。光春は帝に迫って一平を救おうと思い、京へ上るが、彼を仇と狙う正親町中将の弟、今出川公久に殺された。そのころ、虫の知らせで千代野に危険の迫ったことを覚へた一平は、豪雨をついて城を脱出し追い迫る藩士と斬り結んだ。
獅子丸一平
新宮寺光春
茂
欣弥
進吾
徳丸
上皇
閑院宮典仁親王
閑院宮美仁親王
おつな
仲小路金吾
千代野
浜次郎
将軍家斎
正親町中将
今出川公久
杉太郎
山神
天満屋徳右衛門
老女中(尾州候)
黒谷兵太夫
茂右衛門
とめ
吉作
黒谷伴五郎
黒谷兵太夫
関白輔平
[c]キネマ旬報社