東千代之介
鎮西八郎為朝
約百年前に死んだ滝沢馬琴の原作を「怪奇黒猫組」の村松道平が脚色し「月笛日笛 三部作」の丸根賛太郎が監督、「まぼろし小僧の冒険 第三篇・第四篇」の杉田正二が撮影を担当した。主なる出演者は「闇太郎変化」の東千代之介、「牢獄の花嫁」の長谷川裕見子、「長崎の夜」の佐々木孝丸、入江たか子、「だんまり又平 飛龍無双」の薄田研二、吉田義夫、「暴力街(1955)」の三島雅夫など。「椿説 弓張月」(1955年9月20日公開 53分)「弓張月 運命の白縫姫」(1955年10月9日公開 55分)「弓張月 完結篇 南海の覇者」(1955年10月17日公開 46分)。
第一篇・今を去る七百年の昔--遠く流球から、日本征服をたくらむ妖怪の化身が朦雲法師と名乗って渡来し言葉巧みに朝廷に取り入った末、世にいう保元の乱を起させた。戦に敗れた源氏の御曹司鎮西八郎為朝は、八丁礫の紀平治と共に平忠国を頼って落ちのびる途中、図らずも忠国の養女白縫姫の危難を救った。白縫姫こそは故国の内乱を避けて日本に隠れ住む流球の王女であり、比良の麓で二人の心は固く結ばれた。婚礼の夜、為朝は蜘蛛に化けた朦雲の子分を仕止めたが、その毒に当って体の自由を失ったところを平家の兵に捕えられ、大島に流罪の身となった。野望を見破られた朦雲は、為朝を亡きものにしようと大島に追うが、為朝はこれを撃退した。その後、白縫姫にめぐり逢った為朝は、平清盛を亡ぼそうと船出するが、朦雲の妖術に船は難破し、白縫姫は自ら生贄となって海中へ……。第二篇・流球の浜辺に流れ着いた白縫姫は、運よく忠臣毛国県に救われ、もとの王女の姿に返って両親に再会した。国王尚寧の寵を受ける妖妃と大臣利男の魔手が白縫姫に迫ったとき、意外にも為朝主従がそれを救った。難船のあと二人もこの国に漂着していたのだ。だが、またもや朦雲が現れるや、その妖術に迷わされた国王は白縫姫を王女でないと信じ、兵を向けて討とうと謀った。これを知って為朝は白縫姫のため妖賊を倒そうと、敢然起ち上った。しかし、朦雲の妖術におちいり、袋谷で恐ろしい火責めに遭った。第三篇・国王の軍に囲まれた白縫姫は勇将陶松寿の果敢な働きで落ちのびることができたが一行は別れ別れとなり母廉夫人も自殺し果てた。一方、袋谷から逃れた為朝は紀平治に逢い、再起を期して姿を消した。為朝を殺したと思い込だ朦雲は国王を謀殺し、自ら王位につくや妖姫をも手に入れ、暴虐をほしいままにした。辛くも危地を逃れた白縫姫は、北の浜で朦雲の毒牙にかかろうとしたが、為朝に救われた。その頃、大里城主となった利勇は、日夜酒色にふけっていた。やがて、朦雲、利勇の悪政に怨嗟の声は巷に満ち溢れ、決然と起った為朝は朦雲征伐の軍を進めた。そして、両軍の兵が見守る中で、為朝の降魔の利剣は見事に朦雲を斬り伏せるのだった。
鎮西八郎為朝
六条判官為義
崇徳院
藤原頼長
八丁磔の紀平治
比良の三郎忠国
白縫娘(寧王女)
八代
朦雲
平清盛
入道信西
源為義
関白忠通
右京太夫教長
高間の太郎
磯萩
楓
おしゅん
神官安部貞良
廉夫人
尚寧王
利勇
毛国県
王妃
陶松寿
阿公
仙人
海棠
禍(鬼)