江利チエミ
江川モモ子
江利チエミが一世一代の浪花節を聞かせる明朗喜劇。「幸福はあの星の下に」の八田尚之が脚本を書き、「婚約三羽烏」のコンビ杉江敏男と完倉泰一が監督、撮影をそれぞれ担当した。主な出演者は、「チエミの婦人靴」の江利チエミ「婚約三羽烏」の小泉博、安西郷子、宝田明、三木のり平、「ますらを派出夫会」の榎本健一など。
のど自慢で優勝した江川モモ子は蟹田村の人々の声援に送られ、女浪曲師をめざして東京へと旅立った。父親岩助は金を持っていないと馬鹿にされるから何でも十倍に言えと先祖代々の千両箱を手渡した。車中モモ子は借金で苦しんでいる早杉、失業中の中尾、口のうまいおたね婆さんと知りあい、早速大金を持っていると皆を驚かせた。上野へ着き、友達安治を訪ねたモモ子は案内をかって出た三人の中から早杉を選んで安治を訪ねるとすでに引越したあと。仕方なく早杉家に厄介になることになった。早杉は大工を浪曲の先生に仕立てモモ子から金をとろうとしたが、彼の妻可奈子と女剣戟を観に行ったモモ子はすっかりあこがれ、自分もなりたいと心に決めてしまう。早杉は仕方なく役者を紹介するためモモ子を連れて出かけた。モモ子は待っている間に偶然安治とめぐり会い、彼の勤めるジャズ喫茶「チャッチャッチャ」へ行ってみた。そしてそこで歌っている堤をみて又もやジャズ歌手になりたいと心変り。一方中尾はモモ子の留守中秘かに千両箱を持ち出した。一方、早杉もモモ子の千両箱を開けようとその行方を探したが、箱はすでになかった。モモ子はそれを知って悲しむが、千両箱は窓の下から発見された。あわてものの中尾が、間違えて他の箱を持ち出したのだった。可奈子は今までのことは皆、金目あてだったと告白。二人は生活を清算するため遠くへと旅立った。モモ子は毎日「チャッチャッチャ」へ通った。たまたま娘の勉強ぶりを見に上京した岩助はジャズを歌っている娘に立腹、連れ戻そうとした。そこへレコード会社の運野がモモ子を入社させたいと飛び込んで来た。やがて日劇の舞台で歌うモモ子。ラジオの前では蟹田村の人々が浪曲ならぬジャズにうっとりと聞き惚れていた。
江川モモ子
父岩助
早杉質平
妻可奈子
中尾郁夫
たね婆さん
春日井梅雀こと英造
清水さくら
堤英行
松下安治
荒巻組の親方
熊田組の親方
牛村組の棟梁
マダム晴子
女曲師
下宿屋のおかみ
車掌
サリー松村
旅館の番頭
八ツ子
運野
蟹田村の村長
巡査
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