市川雷蔵
忠三郎(近江屋の番頭)
井原西鶴の『日本永代蔵』『当世胸算用』『萬の文反古』などのエピソードから故溝口健二が原作を書き依田義賢が脚色、これを溝口監督が手がけるところ、同監督の急逝により「四十八歳の抵抗」の吉村公三郎が変って監督する。撮影担当は「月形半平太(1956)」の杉山公平。主な出演者は「編笠権八」の市川雷蔵、「信号は赤だ」の勝新太郎、林成年、「嵐の中の男」の香川京子、「鼠小僧忍び込み控 子の刻参上」の小野道子、「君を愛す」の三益愛子など。
元禄の頃。東近江の水呑百姓仁兵衛は、年貢米を納められぬままに代官所の催促に堪えかね地主にすがろうと、女房のお筆と二人の子供を連れ大阪へ夜逃げした。が地主の蔵元、花屋で玄関払いを喰って当てもなく去る。一度は一家心中を決意した仁兵衛だが船から米俵を荷揚げする土佐堀川の岸で、こぼれ米を拾って露命をつなぐことを覚えた。そして十年筒落米を拾った仁兵衛は、それが積り積って今は堺筋に近江屋を名のる茶屋を副業の両替屋に出世した。吉太郎、おなつの二人の子供も成人、何不足のない仁兵衛だが貧乏の味をいやという程なめた彼は徹底したケチンボ。花屋が取潰しになると早速後釜に入り鼻を明かすが、大店に移っても彼の守銭奴ぶりは変らない。正月の門松が大き過ぎると番頭の忠三郎を怒鳴り、年始めにお筆が髪結いを呼ぶと、それも追返す始末。その仁兵衛は、ある日、近くの普請場で会った油問屋、鐙屋の女主人お徳と意気投合、話の末に、お徳は伜市之助の嫁に、おなつをくれと縁談の申込み。仁兵衛は快諾するが、女房のお筆は大反対。夫婦喧嘩に激情したお筆は喀血して病の床に臥す。しかし仁兵衛の吝嗇は碌々薬もやらず妻を死なせてしまう。お通夜には鐙屋のお徳も市之助を連れてくる。放蕩息子の市之助は気晴しに女でも買いに行こうと吉太郎を扇屋へ誘う。その上、初めての経験に上機嫌の吉太郎につけこんだ市之助は、馴染みの滝野を身受けする金の工面まで頼む。一方、鐙屋との縁談を嫌うおなつは番頭の忠三郎にかねての思いを告げ駈落ちを迫る。そして吉太郎は蔵から市之助へ渡す銀を盗み出す。これを知った仁兵衛は怒りに燃えて吉太郎を勘当、忠三郎をも追出してしまう。おなつも後を慕って家出、独り残った仁兵衛は遂に金箱を抱えて発狂する。
忠三郎(近江屋の番頭)
おなつ(近江屋の娘)
市之助(鐙屋の伜)
滝野(扇屋の遊女)
吉太郎(近江屋の伜)
綾衣(扇屋の遊女)
お徳(鐙屋の女主人)
星野権左衛門(大名留守居役)
お筆(近江屋の女房)
仁兵衛(近江屋の主人)
河内屋(大阪の両替屋)
新屋(大阪の両替屋)
天王寺屋(大阪の両替屋)
すえ(花屋の女房)
お竹(髪結い)
熊本内膳正(西国大名の家老)
医者
源六(仲仕頭)
庄吉(花屋の手代)
木賃宿の亭主
堀惣右衛門(江州の郡代手付)
宗兵衛(江州の庄屋)
お通夜の客乙
花屋の娘
木賃宿の女房
町の人
遊女甲
遊女乙
遊女丙
門松売り
近江屋の手代
幇間
お通夜の客丁
近江屋の手代
浮浪人二
お通夜の客丙
お通夜の客甲
近江屋の大番頭
浮浪人一
鐙屋の奉公人甲
丁稚長吉
丁稚
少年時代の吉太郎
丁稚
丁稚
丁稚
少女時代のおなつ
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