京マチ子
おしん
西南戦争を背景に数奇な運命に操られる女の哀しさを描いた川口松太郎の原作を「慕情の河」の松田昌一が脚色し、「慕情の河」の島耕二が監督するメロドラマ。撮影は「いとはん物語」の高橋通夫。主な出演者は「踊子」のコンビ京マチ子と淡島千景、「忘れじの午後8時13分」の根上淳、ほかに北原義郎、潮万太郎、市川和子、南左斗子など。
明治十年、西南戦争の最中。熊本の人吉から避難民を乗せた馬車が行く。取者は義助。乗客の中にはわらじ屋の女中おしん、お徳もまじっている。八代で一同は取調べを受け、行商人風の清吉は間者と判って殺され、他の者は殻倉に閉じこめられる。戦火に荒んだ官軍の隊長朝吹は女を連れてこいと命ずる。一人の犠牲で皆が助かるという言葉に、おしんは人々の哀願する視線を受けて朝吹の処へ行くが、出てきた彼のなめるような視線はお徳の上に止った。必死にかばうおしんをふり切って朝吹はお徳を奥の間へ連れ込む。おしんとお徳がわらじ屋に戻った或る日、馭者の義助が官軍の敗走が始ったことを告げに来た。燃え続ける民衆の炎が、闇の中をぼう然と眺める二人の頬を染める。砲火は遠のいて無気味な静寂が流れた。と、家の隅で物音が。何たる運命の皮肉、暗がりの人影は負傷して逃げこんできた朝吹である。憎い男、おしんは鉄砲でピタリと彼の胸を狙う。と、「待っておしんちゃん!」銃にとびついたお徳。死ぬ程恨んだ相手だが、男を見た彼女の心に女の弱さが戻った。銃を構え直すおしんに「勘忍して、一度でも身を任したら憎みきれないのが女なの。腹がたつなら一緒に殺しておくれ」と泣くお徳。地団駄ふんで口惜しがるおしんは再び銃をとり直し、意気地なしめと、手に手をとって逃げてゆく二人を追って射つ。「何処へでも行くがいい、倖せになれるところへ」叫ぶように、祈るように、射ちまくるおしんの眼からハラハラと涙がこぼれ散る……。
おしん
お徳
朝吹晋吾
清吉
義助
若い夫
若い妻
娘
娘の乳母
老人
老人の孫娘
農夫
農夫の女房
農夫の娘
三枝
大隊副官
歩哨兵
兵A
兵B
兵C
分隊長
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