嵐寛寿郎
大塩平八郎中斎
圧政に抗し窮民救済に成功した大塩平八郎を描く時代劇。佐々木味津三の原作を「雨の花笠」の土屋欣三が脚色、「剣聖 暁の三十六番斬り」のコンビ、山田達雄が監督、河崎喜久三が撮影した。主演は「剣聖 暁の三十六番斬り」の嵐寛寿郎、「明治天皇と日露大戦争」の天城竜太郎、中山昭二、「日米花嫁花婿入替取替合戦」の日比野恵子、「毒婦夜嵐お絹と天人お玉」の筑紫あけみ。
◇前篇--天保八年、摂河泉大阪三郷の住民は、数年来うち続いた飢饉と城代家老跡部山城守の悪政にあえいでいた。東町奉行の客分として天満与力を勤めている大塩平八郎は、この暴政を打破しようとしていた。そうしたある日彼は山城守に姉の命を奪われ、自らもその妾に召上げられようとしていた娘、芳音を救ったことから西町奉行弓削新左衛門が山城守と結託していることを察知した。暴政は日にましてつのった。その日の米にも事欠く領民に無謀な供米を強制し、それに応じないものは情容赦なく縄をかけ、町の米屋と結託しては公金を利用、米相場をつり上げて私腹を肥やすなど、目に余る悪虐非道なふるまいであった。その頃伏見で豊田観音を名乗る教祖豊田貢が、西町奉行の妹で彼らの悪謀に一役買っていることを知った平八郎は、芳音を信者に化けさせ、悪の根源を突き止めようとした。だが、彼女は一味に見破られ宗門を掻き乱す異端の徒として捕えられ、豊田観音の生にえとして火焙りにされることになった。急を聞いて駈けつける平八郎たち。芳音をくくった十字架に火がつけられた--。◇後篇--芳音は十字架上にじっと観念の眼を閉じていたが、その時平八郎の一隊が雪崩れ込み、一味を逮捕し、芳音も間一髪の処で助けられた。捕えられた貢の口から事が露見するのを恐れて、西町奉行は実の妹である彼女を秘かに毒殺してしまった。山城守は、このことを楯に、今まで平八郎を何かとかばって来た東町奉行を罷免し、平八郎を孤立させようとした。平八郎に協力して来た町人たちには更めて莫大な御用金が課せられた。更に西町奉行自ら指揮して平八郎を暗殺しようとした。事ここにいたり、平八郎は水戸烈公に書簡を送り、百姓一揆も起り兼ねない事態の急を告げると共に、城代ら一味の圧政、非行の数々を調査するように依頼した。一方、血気にはやる門弟たちは、平八郎の穏健な態度を快しとせず武力決起を計画していたが、窮民たちもこれに同調して、彼の説得も空しく、最早、叛乱、一揆はさけられぬ情勢となった。今はこれまでと、平八郎は妻子に別れを告げると、決然門弟たちの先頭に立った。平八郎決起の報に大阪の窮民たちは続続と彼の許に集った。町は一夜にして血なまぐさい戦場と化した。だが、多勢に無勢。次々と繰り出される城代側の新手に、町方は次第に追いつめられた。今はこれまでと、責を一身に背負った彼は死を決意した。隠れ家に刻々迫って来る捕方。静かに刀を腹へ突き立てようとした時、彼の許に江戸からの上使が到着した。そして、その口から城代の罷免、供米の中止が告げられ本来なら切腹を申付けられる彼も大阪三郷の民に身命を賭した功により、水戸家預りの厚遇を受けることになった。
大塩平八郎中斎
大塩格之助
大塩ゆう
大塩あさ
宇津木矩之允
平山助次郎
瀬田済之助
近藤梶五郎
小泉淵次郎
大井正一郎
吉田文之丞
下村彦右衛門政啓
下村芳音
水戸烈公
高井信濃守
鴻他善右衛門
跡部山城守
弓削新左衛門
豊田貢
お網
山部美之助
萩雄二郎
相坂五郎次
田島平蔵
大淀屋八郎右衛門
虎屋清兵衛
鍵屋松右衛門
千恵
お浪
乳母
松平丹波守
河内屋
囚人
爺や
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