若杉嘉津子
豊志賀(お累)
三遊亭円朝の原作から、「人形佐七捕物帖 大江戸の丑満刻」の川内康範が脚本を書き、同じく中川信夫が監督した。撮影も「人形佐七捕物帖 大江戸の丑満刻」の平野好美。主演は「毒婦夜嵐お絹と天人お玉」の若杉嘉津子「剣聖 暁の三十六番斬り」の和田孝、「風雲天満動乱」の丹波哲郎。ほかに、北沢曲子など。
下総羽生村の鍼医皆川宗悦は、旗本深見新左衛門の所に貸金を取りに出かけ、惨殺されてしまった。新左衛門は宗悦を累ガ淵に沈めたが、宗悦の怨霊にとりつかれて発狂し、妻の房江をあやまって斬り、自分も累ガ淵にはまって死んだ。それから二十年--江戸一といわれる「羽生屋」の一人娘お久は、番頭の新吉に想いを寄せていた。しかし新吉は、お久の三味線の師匠豊志賀にロ説かれているのだった。この新吉こそ、新左衛門の一人息子であり、豊志賀は宗悦の娘であることを、彼等は知る由もなかった。--豊志賀に横恋慕していた木村陣十郎は、恋の喜びにむせぶ豊志賀と新吉を恨んで、羽生屋に密告した。そのため新吉は羽生屋を追われて豊志賀と同棲することになった。ある日、豊志賀は撥で顔に傷を作り、薬の効もなく、似ても似つかぬ顔になってしまった。豊志賀は、お久に逢う新吉の後を追い、嫉妬にかられてお久に斬りかかったが、誤って階段から転がり落ちた。豊志賀の顔は凄惨なものになったが、それでも新吉の名を呼んでいた。豊志賀は、かつての女中お鉄から新吉は父を殺した新左衛門の子であることを聞かされ、狂乱のあまり悶絶した。豊志賀の亡霊は駈落ちした新吉とお久を悩ませるが、累ガ淵にたどり着いた二人は疲れ果て、新吉はお久を背にするといつの間にか豊志賀に変っている。驚きのあまりに新吉はお久を殺してしまうと、後にはお久が持出した金をねらってつけてきた陣十郎がいた。新吉は陣十郎の刃にかかる。しかし陣十郎も豊志賀と宗悦の亡霊に行く手をさえぎられ、累ガ淵に消えた。
豊志賀(お累)
豊志賀(お累)少女時代
深見新吉
大村陣十郎
お鉄
羽生屋の娘お久
お久の父三五郎
羽生屋内儀お種
羽生屋女中おくみ
山田屋清太郎
深見新左ヱ門
新左ヱ門の妻房江
下男勘三
お累の父宗悦
寅八
金助
重助
豊志賀の弟子A
豊志賀の弟子B
豊志賀の弟子C
医者
駕籠屋A
駕籠屋B
盲人