金子信雄
松山良多(松文字)
「春泥尼」の松浦健郎、「陽のあたる坂道(1958)」の共同脚本執筆者池田一朗に井上梅次が参加した脚本を、「夫婦百景」の井上梅次が監督、同じく「夫婦百景」の岩佐一泉が撮影したアクション・ドラマ。主演は「陽のあたる坂道(1958)」の石原裕次郎、北原三枝、「夫婦百景」の浅丘ルリ子、青山恭二、「大当り狸御殿」の浜村美智子。色彩はイーストマン・カラー。
関東松文字組の組長松山大三を殺した巴組の親分平戸寅次郎は十八年の刑を終えて出所した。仁義として松文字家を訪れた彼は、大三の長男良多がもとの巴組の舎弟で現在難波田組を襲名している吉野の乾分になり、次男健次はサラリーマンに、三男三郎は音楽学校に通っていることを知り、世の移りかわりの激しさに驚く。健次は父の血をひく気っぷのいい青年。勤め先の江島専務の娘で秘書をしている啓子と恋仲である。だがある日、ふとしたことから難波田の乾分たちと大乱闘を起し、このことが江島専務に知れて、健次は会社をクビになってしまった。健次の弁明にも拘らず「君にはヤクザの血が流れている」といわれ、啓子との仲も裂かれた。一方、三郎はアルバイト先で難波田の娘千鳥と知り合い、お互にヤクザの家に生れた不幸をかこつうち次第に愛情がめばえる。健次の方はヤクザの世界に入り、事あるごとに難波田の乾分を倒し、やがて松文字健次の名が界隈に知れわたった。それに比して難波田家における良多の立場は悪くなった。難波田は良多に健次の始末を命じ、同時に彼の情婦エミをゆずれと迫る。だがそのエミと健次はひとめで惹かれ合い、彼女のアパートで一夜を過す。これを知った難波田は賭博開張中の良多と健次を策略を使って警察の手にわたそうとする。二人はその場は逃れたが翌日健次は現行犯でつかまる。だが、忠実な乾分吉良源が身代りとなり、取調べをうけたが、その最中急死してしまう。「源小父を殺したのは兄さん達だ」と泣く三郎。健次はヤクザの世界から、身をひこうと決心し、再びめぐり逢った啓子と語り合った。だが、三郎と千鳥が婚約宣言をしたことから難波田に喧嘩を売られ、兄弟三人は指定の場所へ出かけた。話合い無用の修羅場となった所へ寅次郎がかけつけ、千鳥が寅次郎の実の子であることや、昔の悪事をバラすといって、難波田を制止し、さすがの難波田も手を引いた。健次は、三郎を許してくれればヤクザの足を洗うと申しで、良多は松文字のナワバリをゆずろうといった。ついに難波田は引揚げ、寅次郎もどこかへ行ってしまった。久しぶりに兄弟三人に笑顔がうかんだ。
松山良多(松文字)
松山健次
松山三郎
江島啓子
浜口エミ
吉野千鳥
平戸寅次郎
吉良源作
源作の息子由造
難波田清五(吉野)
松山大三
松山の妻みつ
江島専務
益井課長
友人高井
山岸部長
中川課長
女事務員A
女事務員B
女事務員C
難波田の乾分丸林
難波田の乾分古川
難波田の乾分木村
難波田の乾分山の井
愚連隊安
愚連隊竹
婆や
書生
バレー団員秋月香代
バレー団員桃代
バレー団員初江
トレーナー川口
刑事
主任
医者
看護婦
ル・ボウのボーイ長
喫茶店の主人
ポーカーの札きり
ホテルのマネージャー
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