川口浩
進藤進一
読売新聞に連載された林房雄の同名小説を、「恋を掏った女」の長谷川公之が脚色、「猫は知っていた」の島耕二が監督、「渇き」の小原譲治が撮影した青春明朗篇。出演は「巨人と玩具」の川口浩、「愛河」の若尾文子、「渇き」の川崎敬三、「恋を掏った女」の叶順子に、柳永二郎・轟夕起子のベテラン。色彩は大映カラー(アグファカラー)。
進一は実業家進藤嘉六の先妻の子である。義母のますのとうまくゆかぬ。父にも反抗的である。夏休みに、進一は富士のふもとの湖畔にキャンプしたが、同級の照夫とその恋人ヒロ子らに会った。照夫と喧嘩したとき、仲裁に入った女--ユリエとも知り合った。彼女は死んだ実母と同じ名前である。再会を約した。帰京すると、進一は父と喧嘩し、学校をやめて自活することにした。ユリエは彼をジャズ喫茶店“コタ・ラジヤ”の店主アレクス篠田に紹介した。彼女がその店内の装飾をしたことがあるのだ。アレクスは進一を引受けたことを種に嘉六に店への融資を迫った。嘉六は進一に黙ってそれを引き受けた。進一はボーイをするうち、店の人気歌手がギャラの不満で出演を渋ったとき、その代りに舞台に立った。彼の歌に場内はわき、ちょっとした新人歌手が誕生したことになった。一同はその夜、祝杯をあげた。--照夫はヒロ子との結婚を彼女の父牧健三に医学的見地から反対された。ユリエは進一と親しくなり、彼を自宅に招いた。彼女の養祖母ますのは進一の実母の方のユリエの母であった。篠田が三百万ほどの取込詐偽を働き、嘉六は彼が逮捕されぬよう、彼の借金を肩代りする代り店を買い取ることにし、その役目を進一に命じた。進一は篠田の配下のグレン隊に囲まれ負傷した。入院し、ユリエの看護を受けていると、父がやってきた。彼は父を詰問した。なぜあんな契約を黙ってしたのか。嘉六はしみじみ語った。わたしはお前が一人前になってくれることを願っていたのだ。親子は理解し合った。--照夫とヒロ子は家出した。結婚を許されるまでは何度もするつもりだ。湖畔のホテルで、嘉六はますのと対面した。照夫たちにも、父親から結婚を許可する知らせがきた。進一はユリエと。この二組は協力してコタ・ラジヤを経営して行くことになった。
進藤進一
父嘉六
義母タカ子
仲田ユリエ
義母ますの
小山照夫
父行夫
牧ヒロ子
父健三
弟健太
アレックス篠田
エツ子
アケミ
圭子
宮原
リッキイ矢部
巡査
湖畔の警官
ヒロ子の同僚A
ヒロ子の同僚B
ヒロ子の同僚C
ヒロ子の同僚D
[c]キネマ旬報社