侠艶小判鮫(前後篇)
侠艶小判鮫(前後篇)
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侠艶小判鮫(前後篇)

1958年11月8日公開、時代劇
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戦後も、長谷川一夫主演で製作された時代劇の再映画化で「亡霊怪猫屋敷」のコンビ藤島二郎と石川義寛の脚本を、「憲兵と幽霊」の中川信夫が監督した。撮影も同じく「憲兵と幽霊」の西本正。「隠密将軍と喧嘩大名 (前後篇)」の嵐寛寿郎・宇治みさ子・中村竜三郎が出演する。

ストーリー

◇前篇--両国の川開きの夜である。老中柳沢美濃守がお抱えの剣客・小松刑部らと乗っている舟に、女芸人・昇竜軒遊里の舟がぶつかった。一同は遊里の美しさに見惚れた。去って行く彼女の舟を、刑部はいつまでも見送った。遊里にとって刑部は親の仇だった。十五年前、父・保科甲斐守は五百万両の公金を江戸へ護送する途中、柳沢の部下に襲われ金を奪われた。父は「仇を討て」と云い残して切腹した。遊里と弟・美代太郎は母ゆきに連れられ、頼母木兵衛らに護られて江戸落ちようとした。柳沢一味に襲われ、ちりぢりになり、遊里は頼母木に背負われて危くのがれた。成長して昇竜軒一座を組み、江戸へ上った。彼女の目的は柳沢一味が各々一通持っているという、公金の隠し場所を記した連判状を手に入れることだ。柿の木長屋の与兵衛の家で柳沢の一味・金座改め役遠藤の命を受けた同心・主膳が十両の返済を迫り、出来ねば娘の千代を柳沢家へ奉公させると強談判する。それを、隣りの瓦版売りの美代太郎と乾分ヤー公が聞いていた。その夜、遊里は遠藤邸に忍びこみ血判状のありかを探るが、騒がれて逃げる。彼女が黒装束をとるのを、小松が見ていた。遠藤の部屋に、何者かが忍び入り、小判を盗み、「小判鮫参上」と壁に書き残した。翌朝、与兵衛の家に、五十両の小判が投げこまれた。受取りに来た主膳はいいがかりをつけ、与兵衛を召捕ってしまう。刑部は遊里を脅し、船宿へ来させ、彼女を口説く。彼女を小判鮫と思ったのだ。迫られた遊里を救ったのは、浪人大場弾正である。小判鮫の美代太郎は与兵衛を救い出す。与兵衛は岡っ引・金次に追われ、遊里の小屋へ逃げこむ。が、娘千代は柳沢邸へ連れて行かれた。ある居酒屋で弾正の腕前を知った刑部は柳沢へ彼を推挙する。柳沢一味は遊里が甲斐守の娘らしいと思い、邸に閉じこめている母ゆきに真偽を判定させようと、昇竜軒一座を招いた。小判鮫が千代を救いに忍びこんだ騒ぎに乗じ、ゆきが遊里に連判状の所在を知らす紙片を渡した。遊里は柳沢の居間の床柱に近づいたが、落し穴に落ちてしまった。 ◇後篇--遊里は不思議な浪人弾正に助けられ、床柱の隠し場所から連判状を取りだした。天井で小判鮫がそれを見ていた。遊里たちの帰途を小判鮫がさえぎり、可哀そうな娘を助けるために連判状をよこせという。お互いが姉弟と知らぬのだ。乱闘。連判状は半分にちぎれ、二人は半分ずつをつかむ。柳沢の追手が迫り、二人はそのまま逃げた。遊里は昨夜の紙片をくれた女人が母かと頼母木にたずねた。彼は強く否定する。遊里が舞台へ出ている間に、ゆきが訪ねてきた。「奥方様が仇の屋敷にいるとわかって、遊里様の気持が乱れては一大事」と頼母木は、ゆきをさとしたのである。--千代が柳沢に迫られたときにも、弾正が現れて助けた。救助専門。柳沢は、ゆきの偽手紙で遊里をおびきだし、頼母木を斬り、遊里を捕えた。連判状も奪い返す。小判鮫は頼母木を隠れ家へ運び、弾正は柳沢邸へ向う。座敷牢の内と外で、遊里とゆきは涙の対面をした。柳沢は遊里を小判鮫ときめ、さらし首にしようとする。その高札を読んだ弾正は、遊里は偽の小判鮫だから、即刻釈放せねば、一味の悪業を訴人する旨の紙つぶてを柳沢邸へ投げこんだ。柳沢は遠藤と南町奉行・岩佐に、鎌倉の洞窟の五百万両を船に積めと命じた。出し抜こうとした遠藤は刑部に斬られる。遊里を、ゆきと美代太郎が別々に救い出そうとし、計らずも親子三人が対面することになった。そのとき、刑部が現れ、ゆきを斬り、遊里とその弟を地下の水牢に閉じこめる。が、弾正が現れ、助けだす。弾正は大老の放った隠密であり、柳沢の悪業は逐一報告されていた。柳沢一味が五百万両を船に積んで逃げようとしたとき、遊里姉弟が現れ、弾正の助けで、親の仇をうった。連判状によって甲斐守の無実が証され、遊里・美代太郎の家は再興された。

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作品データ

製作年
1958年
製作国
日本
配給
新東宝
初公開日
1958年11月8日
製作会社
新東宝
ジャンル
時代劇


[c]キネマ旬報社