長谷川一夫
銭形平次
野村胡堂の原作を、西村八郎と「赤胴鈴之助 黒雲谷の雷人」の松村正温が脚色、「濡れ髪剣法」の加戸敏が監督した、大映が正月には恒例の銭形平次もの。撮影は「抜き足差し足忍び足」の牧田行正。音楽は「喧嘩笠(1958)」(東映)の鈴木静一。「伊賀の水月」の長谷川一夫を筆頭に、船越英二・香川京子・沢村美智子らが出演。
師走に平次は伊勢詣りで江戸を留守にした。怪盗団花蝙蝠が千代田城の御金蔵を破るという事件が起きた。八五郎は女目明し石原のお品と力を合せて探索した。花蝙蝠の一団が両替屋松前屋を襲ったとき、八五郎らの機転で袋小路に追いこみ、一味を全滅させた。八五郎らは人気者になり、松前屋の娘、きよら六人の男女奉行から金一封をもらった。八五郎とお品が夜道を襲われ危くなったとき、投銭で救ったのは旅から帰着した平次だった。--駕かきが雪女を見た。丸い穴の足跡をたどると、おきよの死体が雪の下から現れた。三の輪万七は彼女に惚れた大場弥十郎が犯人だといった。彼は割腹自殺していた。が、平次は他殺と断じた。彼は花蝙蝠一味殺害に協力した者だった。大川端で死体のあがった上総屋のおみねもそうだった。お礼参りか。続いて、例の袋小路が全焼したのだ。平次は一味の首をさらした小塚原へ行き、おれんという鉄火女を見た。--お光・三吉姉弟がすずめ長屋の伝蔵をたよって江戸へ来た。が、伝蔵は花蝙蝠事件以来姿を消していた。姉弟の話で平次は谷中の妙法寺を訪れた。和尚栄信は伝蔵など知らぬといった。協力者・飛脚の新助が火の見番伍平の火の見櫓の上で惨殺された。--御金蔵の三方両は以然として出て来ず、南町奉行は若年寄から年内解決を厳命された。協力者・「舟源」の女将おしまが怪漢に襲われたとき、身代りになっていた平次が闘った。賊は煙草入れを落して逃げた。伝蔵は煙草を吸わぬのだが。浅草の掛け小屋の呼びこみに化けていた八五郎に、おれんがひょいと結び文を渡した。栄信和尚から死んだはずの花蝙蝠の首領・伊太郎あてのものだ。大晦日の前日。賊がお光とお品を連れ去った。平次は寺社奉行役人と共に妙法寺へ行き、栄信の死体を発見した。平次が残した例の煙草入れを伍平が忘れたといって取りに来た。浅草の掛小屋が急に小屋をたたみ、西国へ旅立つらしかった。荷物に見せたお光・お品を大川に投げこもうとしたとき、中から平次と八五郎が現れた。首領伊太郎は伍平だった。袋小路の長屋に住む伝蔵が身代りにさらし首にされたのだ。三万両はむろん一行の荷の中にあった。雪女は竹馬を使った伊太郎のこけおどしだった。
銭形平次
石原のお品
乾分八五郎
女房お静
お光
おきよ
鳥居甲斐守
駕かき鶴
瓦版売りのお仙
駕かき亀
浪人大場弥十郎
船宿の女将おしま
おみね
おれん
白石十兵衛
小笠原図書頭
大和田主馬
伍平
お春
上総屋女房おとわ
和尚栄信
上総屋惣兵衛
三ノ輪万七
お神楽の清吉
良念
笹野新三郎
飛脚屋新助
水野出羽守
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