青山恭二
伊集院太郎
平尾昌章のヒットソングを綴りこんだ明朗歌謡映画。「危険な群像」の山崎巖の脚本を、「東京は恋人」の井田探が監督し、「東京午前三時」の山崎安一郎が撮影した。音楽は飯田三郎。「都会の怒号」の青山恭二をはじめ、丘野美子・平尾昌章・堀恭子らが出演。
看板店レインボーアート社の二階の屋根裏には、二人の店員が住みこんでいた。一人は伊集院太郎というギターを奏でては、未来の作曲家を夢見ている男、もう一人は平田昌夫といい、ピカソばりの絵に熱中しているという変りダネである。店主の木戸勘兵衛は、ハイウェイの留という金貸屋に借りた新妻・さゆりとの結婚資金八万円の返済を迫られていた。しかも、返さなければさゆりを頂こうと脅すのだ。太郎は恋人・則子の妹の結婚式に参列するため、三千円を苦面しなければならなかった。仕方なく、彼は平田の新調の背広を質に入れ、モーニングを借りて結婚式場へ出かけた。この一件以来、平田は太郎に冷くなった。背広を取られて風邪をひいたのだから無理のない話だ。ある日曜日、勘兵衛は平田・太郎・則子・さゆりの四人を江の島にハイキングにいかせた。これは勘兵衛苦肉の策、借金を取りに来られる日なので、それに代るべき女房や単車を家に置いては危くて仕方がないというのだ。留の一味は、目あての単車がないのを知ると、慌てて江の島海岸へ駈けつけた。単車の奪い合いは、結局一味に凱歌が上がった。そして、築地のオートバイ代理店に売られた。だがそこの中古部々長は、太郎の五万円の預金証書で現品を渡し、残り五万円は働いて返してくれれば……と好意を示してくれた。--楽器店の則子のもとへ、太郎から電話がかかった。太郎は平田に電話で歌を歌わした。交換室にいたさゆりが、その声をホールにさしかえた。その場にいたレコード・ディレクターの太刀岡はこの声に惚れ、平田を歌手として売り出す決心をした。--太郎にも輝やかしい日が来た。峰画伯が太郎の写生帳を見て、その才能を認めたのだ。こうして、作曲家志望者が絵描きになり、絵描き志望者が歌手になるという不思議な幸運が二人に訪れたのだった。
伊集院太郎
平田昌夫
三原則子
木戸さゆり
木戸勘兵衛
ハイウェイの留
太刀岡
キャバレエの支配人
留の乾分一
留の乾分二
留の乾分三
留の乾分四
オートバイ代理店部長
老医師
峰画伯
ハイテーンの男一
ハイテーンの男二
ハイテーンの男三
ハイテーンの女一
ハイテーンの女二
則子の母親
牧師
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