大友柳太朗
森半助正和
「鳳城の花嫁」「鴬城の花嫁」につづく“花嫁シリーズ”の第三作。「水戸黄門漫遊記(1958 三隅研次)」の小国英雄のオリジナル・シナリオを「柳生旅ごよみ 女難一刀流」の松村昌治が監督、「丹下左膳 怒濤篇」の吉田貞次が撮影した。
上野国忍足城一万五千石の城主・松平図書頭信直は将軍家息女・和姫との婚儀がととのい、喜びに包まれた。が、将軍家の仕来りで、十四日にわたる物々しい嫁入道具の運び入れや、ばかばかしい数々の儀式、それに何かと現れる将軍家の位、こんなことで信直は、すっかり腹を立ててしまい新婚の夢も破れた。しかし和姫を突き返せば御家取潰しと、家臣と姫の板ばさみとなった信直は遂に切腹して事態を処理しようとした。ところが、そんな信直の前に一人の男が現われ切腹を押し止めた。この男、千丈ケ嶽の猟師・半助と云いインチキ八罫見から日本一の美人を授けられる相があるとおだてられ、日本一の美人なら和姫以外にないと城中へ忍びこんできたという次第。信直から切腹に至るまでの事情を聞いた半助は、女は馴らしかた次第だよ、俺なら巧く仕込んでやる、と大言壮語した。信直はこの言葉にハタと膝を打ち、和姫を、この山男の手に委ねることにした。ひと狂言打たれて千丈ケ嶽の山小屋に連れこまれた和姫は、威厳を保とうと必死になるが、寒さと空腹にはかなわなかった。こうして山小屋で、半助と、その妹おみね、二人の伯父・源五に囲まれた和姫の奇妙な生活が始まったが、その中で姫は生きることの厳しさをひしひしと覚っていった。ある日、姫は山賊に襲われた。それを半助が必死で追払った。そのころ、城では意地悪の上臈が前非を悔いて病気にかかり、信直も、さすがに心配していた。が、和姫は、いつか半助に愛情をおぼえていった。間もなく、先に逃れた山賊を案内に、城の侍たちが姫を迎えにきた。姫は、半助に一緒に連れていってくれと泣き叫んだが、半助は侍たちに姫を渡して立去った。--和姫が再び信直の前に迎えられたその日、国境の峠から旅姿の二人の武士と武家娘が遥かに忍足城を見つめていた。それは猟師の半助、実は元家臣の遺児・森半助正和と妹おみね、伯父・森源五左衛門の三人が江戸へ上る姿だった。
森半助正和
松平図書頭信直
大沢外記
木島頼母
井上主水
藤の方
松島
尾上
宮路
初音
森源五左衛門
おみね
上州吉
荒船の権次
雲取常
尾瀬の牛五郎
大道易者
町の世話役
和姫
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