小林旭
須貝慎一
柏木和彦・松尾昭典の脚本を「網走番外地(1959)」の松尾昭典が監督した、学生プロボクサーが主人公のアクションドラマ。撮影は「群集の中の太陽」の高村倉太郎。
慎一は夜ふけの岸壁で父に誓った。俺はチャンピオンになるぜ。プロ入りすぐ、ウェルター級チャンピオン挑戦者に選ばれた。父は選手権試合に敗れ、自から命を断った。母の誕生日を布施トレーナーの娘由紀(幼友達だ)と祝ったあと、この岸壁に来たのだ。人のうめき声がきこえ、黒い人影が襲ってきた。彼のパンチで人影は散った。メダルが一つ残された。--哲也がたずねてきた。学生時代の友人で、由紀の恋人だった。神戸の貿易商につとめているという。マリーという女から慎一に電話があった。三面記事のトップを見よ。記事は岸壁に死体があがり、それは○○事件の重要参考人だと告げていた。慎一は指定の場所へ行った。マリーはあの岸壁に落ちていたメダルを示した。彼が学生のライト級に優勝したときのものだ。メダルを買い戻すと、慎一はそのままメダルを哲也にとどけた。哲也はそれを見ると、身をひるがえして逃げた。--彼は慎一と由紀を裏切っていた。メダルは慎一がせん別に彼にやったものだ。彼は倉庫の殺人事件の一味だったのだ。慎一は神戸へ帰ろうとする彼をつかまえた。自首はいやだぜ。哲也は雑踏に消えた。慎一と由紀は彼を探し、立川の彼の姉のもとをたずねた。帰途を、彼の一味、五郎がさえぎった。そのとき、哲也が現れ、五郎を射った。五郎は哲也の裏切りをボス宮脇に告げた。慎一を試合前につかまえろ。選手権試合の前日、慎一は一味に捕り、地下室に閉じこめられた。試合時間は迫った。哲也は慎一の身代りをボスに申し出た。このときすでに、慎一はボスの情婦、蓉子の助けで逃れていたのに。九時までに彼が帰らねば、哲也を殺す。こう記された紙片がリング下から渡された。慎一は消耗しきっていた。が、猛然ラッシュに移り、相手をノックダウンした。すぐさま例の地下室にかけつけた。哲也は一味と闘っていた。深傷を負っていた。慎一はボスと五郎を倒した。哲也は死んだ。慎一は父の写真につぶやいた。チャンピオンにはなれたが、友達を一人失いました……と。
須貝慎一
須貝芳江
織井哲也
織井千恵子
高見由紀
高見耕三
蓉子
布施泰司
五郎
ジミー
マリー
菊田
宮脇
山岡
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