長谷川一夫
民谷伊右衛門
「千羽鶴秘帖」のコンビ八尋不二が脚本を書き、三隅研次が監督したおなじみの怪談もの。撮影は「山田長政 王者の剣」の牧田行正。
小普請組民谷伊右衛門は内職でやっと生活していた。女房お岩は叔父に夫の役付の運動を頼んだ。伊右衛門には秋山と関口という悪友がいた。伊右衛門は作事方組頭伊藤喜兵衛を訪ねた。進物が少いと侮蔑された。帰途、ヤケ酒を飲んだ。悪旗本にからまれた武家娘と乳母を救った。そのまま立去った。--お岩の妹お袖は浅草寺の楊弓店で働いていた。恋人の与茂七と世帯を持つのを楽しみに。秋山の仲間直助権兵衛は彼女に目をつけた。--伊右衛門の心は次第にすさんだ。お岩にもつらくあたった。下僕の小平が彼女をいたわった。直助が秋山の使いとしてき、伊右衛門を茶屋の一室に導いた。先日の武家娘と乳母が待っていた。娘は喜兵衛の娘お梅だった。陰で、秋山らがホクソ笑んでいた。いい金ヅルができた。--お梅は父に伊右衛門と会わせてくれと頼んだ。命がけだった。直助が二挺の駕籠を案内してきた。お梅が迎えにきたのだ。喜兵衛は伊右衛門を愛想よく遇した。恥じらいながらも、お梅は彼に迫った。--お岩は身体をこわした。流産の後の不養生のせいだ。高価な薬が必要だった。秋山らは何とかお梅と伊右衛門を結びつけたかった。お岩を、小平との不義を理由に離別させよう。小平は秋山らから折檻され、惨殺されてしまう。--直助が伊右衛門からのことずけと、お岩に薬をとどけた。すぐさまそれをのんだ時、お岩の身体に激痛が走った。鏡に、無惨に変った顔がうつる。髪をすくと、ばさりと抜け落ちた。秋山が訪れてき、伊右衛門がお梅と縁組することになったといった。お岩は秋山の脅しの刀にひるまなかった。秋山は白刃を柱にさしたまま逃げ去った。夫が帰ってき、彼女の密通をののしった。お岩は逆上し、夫に迫った。そのハズミに、秋山の残した刀がノドに突きささった。お岩は絶命した。秋山らはお岩と小平の死体を不義者として隠亡堀に流した。--伊右衛門はお梅と式を挙げた。その夜、お梅の顔がお岩のそれに見えた。伊右衛門は思わず斬りつけた。お梅が血をふいて倒れた。--お袖は直助から真相をききだした。それを伊右衛門がきき、直助の首を斬り捨てた。秋山らをも次々に斬った。捕手が囲んだ。“お岩、許せ。恨みは晴れたか”彼は絶叫すると、自決したのだ。虚空で、お岩のまぼろしが微笑しながら彼の霊をさし招いたという。
民谷伊右衛門
お岩
小平
お袖
お梅
お槙
与茂七
直助権兵衛
松村彦六
秋山長兵衛
関口官蔵
按摩宅悦
伊藤喜兵衛
おりん
桐山五兵衛
小林左次馬
花田権之助
蛇山の僧侶
但馬屋
北川彦蔵
岡田源六
関重助
金森一馬
勤番侍
勤番侍
勤番侍
石和市十郎
岩本甚十郎
木戸東造
医師宗庵
お種
お松
おしの
おかじ