春丘典子
静子
「第五福竜丸」の共同執筆者・八木保大郎のオリジナル・シナリオを、「母子草」の山村聡が監督したもので、鹿島の季節出稼ぎ労働者の生活を描いたもの。撮影は「海のGメン 暁の急襲隊」の荒牧正。
鹿島灘は貧しい漁港である。沖の会社船に魚の群を押さえられて、僅かにとれる蛤や鰯では生活出来なかった。早場米の時期には、大挙して水郷地帯に刈り入れの出稼ぎに出かけるのが習慣だった。今年も若い男女はこの楽しい年中行事に出かけた。鹿島一の純情娘静子、楽天家の万兵衛、東京から職にあぶれて戻った幸吉も一行に加わった。静子は幸吉を愛していた。三時間バスにゆられて、水田地帯西代に着くと、馴染みの人屋を通して一行は各々と農家に配置された。幸吉と静子は豪農水田宗右衛門の家で働いた。農地相続をめぐって宗右衛門の家はいざこざが絶えなかった。姉のかね子、次男坊、母、嫁、東京にとび出した妹の邦子……。不思議な家族だった。幸吉は邦子に興味をもつが邦子はうけつけようとしなかった。祭太鼓の音が水田を流れ、水神様の祭の日が来た。幸吉は大道商人の口上を手伝ったことから、村のやくざに袋叩きにされた。幸吉を介抱してくれたのは行きずりの村の女みゆきだった。みゆきは夢に破れて東京から戻った女だった。二人は似た境遇だった。二人は一夜を共にした。翌日みゆきは幸吉の眼の前で断崖から身を投げた。幸吉の驚きは大きかった。その日以来、幸吉の姿は宗右衛門の家から消えた。静子はがむしゃらに働いた。雨が降り続いた。堤防にもしものことがあれば、早場米は泥になってしまう……。泥と汗にまみれて人々は一夜のうちに早楊米を刈りとってしまった。長雨も上った。秋晴れの道を鹿島の人々は帰って行った。村への帰り道、人の噂を頼りに、幸吉をさがして静子は銚子に寄ってみた。しかしすでに幸吉は印度洋あたりまで漁に出る独航船に乗り組み、港を後にしていた。静子も港を去った。バスは鹿島へ向っていた。
静子
和子
弓子
玉子
芳子
幸吉
良夫
茂夫
万兵衛
進太郎
定夫
保夫
春子
君ちゃん
晃
沖合爺
山一問屋のおやじ
人屋の婆さん
バスの車掌
大造
栄吉
船方の忠さん
宗右衛門
粂
かね子
次郎
邦子
文子
吾助
竹田
大下
青木
お豊
お仙
みゆき
村の青年A
村の青年B
村の青年C
博子
須藤
太田
佐々木
モンタン巻きの行商
祭りの世話人
行商の男
村の愚連隊A
村の愚連隊B
村の愚連隊C
ラーメン屋のおかみ
職安の職員
行商の女
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