監督
岐阜県池田町の特別養護老人ホームと、自治体である池田町の取り組みを通して、生涯を安らかに生きてゆくための対策を追求したドキュメンタリー。監督は「痴呆性老人の世界」の羽田澄子。撮影は同作の西尾清がそれぞれ担当。
ストーリー
濃尾平野の西北端にある池田町は人口約二万二千人の町で、新しくそこの町長になった久保田達男氏は高齢者福祉の推進を掲げ、『老人のケアシステムをすすめる会』を発足させた。町には秀れた介護を行っている特別養護老人ホーム・サンビレッジ新生苑があり、活動はまずそこの見学から始まる。そしていくつもの発見があったが、具体的な動きには結びつかなかった。町長は会のために中学生四人を含むデンマーク福祉研修団を組織しデンマークのカルンボー市に出発した。そこは池田町とほぼ同じ人口の町で、高齢者の生活を24時間態勢で支えていた。研修団はそんな数々の施設に驚かされるが、彼らの帰国後も会には目立った動きは何もなかった。だが、福祉の現場に立つホームヘルパーや訪問看護婦といった女性たちが、以前あった「町づくり推進委員会」を復活させ、具体的に町の問題に取り組みはじめた。そして会がスタートして一年が過ぎた。目に見える成果は、有線放送による緊急通報装置の設置くらいだったが、目に見えない成果が町民の間に育ち、やがて実を結ぶことが期待される。