榎本健一
啓一
「陽気な女」に次ぐ佐伯清の演出作品で東宝、榎本健一劇団の提携作品。
これは東京隅田川べりに暮らす貧しい人々の物語である。啓一と勘太は仲の良い相棒であるが二人共大変臆病者で、どの仕事も失敗し失業している。簡易食堂カロリー軒の娘お新は二人の良き友であり、いつも二人を励ましている。二人がようやく探し当てた職業は街の清掃作業員の仕事で到底出来そうにもないと諦めて帰る途中疲労と空腹で倒れている美しい娘幸子を救った。そのため二人は危険な清掃夫の仕事を始めねばならぬ破目になる。やがて二人の娘に対する同情は恋に変わる。その恋は二人を喧嘩別れにする結果となった。しかし別れて仕事の出来ない二人は困って娘にどっちが好きか決めて貰おうと帰ってみると娘が居ない。二人は後悔して仲直りしているところへ娘が父親と恋人と共に現れた。二人は幸子に失恋した。しかし二人はもう臆病でなくなっていた。本当に働く者の真実の悦びと幸福を知ったのである。そして勇気と愛情はみんなをそれぞれに幸福にして新生の街に向かわせるのであった。
啓一
勘太
お新
島吉
幸子
細井
幸子の父
大野二穂
ポンポン汽船の船長
現場監督の男
掏摸
巡査
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