堺駿二
順平
新人須佐寛の第一回演出の短編映画。
順平は手風琴を奏でながら酒場を渡り歩く青年、花子は同じ場所で歌を職業としている。花子が現れると順平の人気は一ぺんにがた落ちとなる。今夜も同じ場所で唄を歌い、手風琴を弾いていると、突然順平君の親方「鬼島組」の権吉が現れ、花子を見て急にニタニタと笑いかけるのである。その権吉の肩をポンと叩いて怪しい男が一枚の紙片を置いて行く。その紙には「今夜十二時三田ビル倉庫裏で待つ」と書いてある。一方花子は唄いながら順平に花束をポンと抛ってゆく。花束には「今夜十二時公園で待つ」と書いた紙片がついているが、順平はそれに気づかず、権吉は咄嗟に紙片を取り替えてしまう。その夜倉庫の裏で順平は空しく花子を待って一夜を明かす。一方公園で花子は順平を待っていると、現れたのが権吉だった。翌朝、倉庫裏で待っている順平のそばを通りかかった花子は昨夜の待ちぼうけに全然おかんむり、順平はあわててその跡を追おうとするがそこに権吉一味がやって来て花子を挟んで追いつ追われつ、その組んずほぐれつの騒ぎの最中、大事な順平の手風琴は破られてしまう。しかしその翌晩から花子の美しい唄声と順平の新しい手風琴の音が再び聴こえて来る。
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