長谷川一夫
惣太郎
京都勘定奉行の役人磯貝五郎は友禅問屋の六兵衛と結託して商人いじめの産物改会所を設けその暴利を役人と六兵衛とで山分けしようとした。問屋衆は背後の権力を恐れて無法の処置に屈するより仕方がなかった。しかし花菱屋惣太郎は敢然として反対した。必然的に彼の身の上にあらゆる圧迫が加えられて来た。六兵衛は無法な難題を花菱屋にふっかけ更に横恋慕の惣太郎の妻おつまに対してさえあきらめ切れぬ魔手をのばして来た。六兵衛と磯貝が料亭で密会している時にもとの六兵衛の職人で馘首された伝吉が六兵衛を殺しに来たが逆に殺されてしまう。このことを惣太郎が見ていた事を知っている磯貝は惣太郎を殺さんと隠謀し、花菱屋一族を捕縛する計画を立てたが逆に惣太郎の知るところとなり惣太郎は意を決し邪悪なる権力、社会悪を除かんと磯貝と六兵衛を斬って自首をして出た。捕吏につれられて高瀬川を送られてゆく惣太郎を乗せた舟に新七が精魂込めた友禅が家族のものの、思いを込めたまま静かな霧に濡れていた。
惣太郎
おつま
新七
お紺
六兵衛
権三
伝吉
磯貝五郎太
捨松
運兵衛
片倉半蔵
辰三
松平
佐助
藤蔵
巳之吉
為三
友市
越前屋
山形屋
丸十
三河屋
地廻り源八
地廻り平三
役人江島
高砂屋のお内儀
琴富貴の女将
おつね
おふみ
菊香
おたね
仲居
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